新宗教の系譜

新宗教の系譜

現代霊性論 内田樹、釈撤宗

 明治政府は国家神道政策を採った。一方、近代最初の宗教ブームがあった幕末から明治にかけて、神道系が大きな動きを見せる。天理教(1838年)、大本(1892年)、御嶽教(1882年)など。これらの宗教は個人や家庭の苦悩に応答する。

次の宗教ブームは貧病争を克服する仕事を斡旋する病気治しする信仰×利益構造の形で、仏教系では、日蓮系で創価学会(1930年)左寄りなどが出た。

法華経系で霊友会(1930年)石原慎太郎の支持母体、立正佼成会(1938年)。

戦後新宗教で大本に影響を受けた高橋信次GLA(1970年)、GLAの影響を受けた大川隆法・幸福の科学(1986年)。

戦前の新宗教は戦後、左寄り方針、戦後の新宗教は差別化を図るために右寄り方針が多い。

戦後真言宗系で阿含宗(1978年)、オウム真理教(1989年)。

神道系では大本(1892年)出口王仁三郎、成長の家(1930年)谷口雅春・大本出身、世界救世教(1935年)MOA美術館、戦後は真光系(1963年)、ワ-ルドメイト(1994年)深見東州。

神道で天理教(1838年)。神道で御嶽教(1882年)その系譜で、戦後ではPL教団(1946年)、実践倫理宏正会(1946年)。

キリスト教系では、韓国系の基督教統一教会(ソウル)(1954年)、アメリカ系ではものみの塔・エホバの証人(海老名)(1953年)、モルモン教(東京)(1949年)。

アメリカでは、60年代の反物質主義ニューエイジ思想がブームにグローバリズムを推進、現在は保守反動ナショナリズムの福音主義が勢力を増す。ブッシュ前大統領の支持基盤の6割。

 神道は農業を行うため共同体をつなぐバインド(絆)で、教義とか思想性ではなく儀式宗教である。死んだ霊は先祖の霊になると考えた。

儒教も霊と肉体を分けて考えた。死ぬという事は肉体と魂が分離することである。位牌を作った。

仏教では、キリスト教やイスラム教の造物主といった絶対神は否定する。肉体が無くなると残る霊魂は天国に行く。

幕末から明治にかけて霊学という個人がどう救われるかを追求した神道が出た。精神力をきたえたり、手かざし治療をしたりした。この系譜から出口王仁三郎がでた。現代の宗教は霊学の系統が一方にある。

アメリカほど宗教と政治の住み分けをして政教分離が徹底している国はない。ユダヤ教は特定行動パターンを取ることでユダヤ民族を保持した。イスラム教はラマダーンで国王から庶民まで全員が断食をする。どの宗教も社会とは別の価値体系をもっている。宗教の3つの特徴は、①この世界の外部を設定する②儀礼の体系を有する③シンボル(象徴)を持つ(十字架など)。構成要素は教義、儀礼、教団の3つである。

 日本の宗教は1975年から1995年までのバブルの時代の新宗教は、信仰とご利益の関係がシンプルであった。1995年から現在の2024年までの失われた30年の時代のポスト新宗教の時代では、努力と成果の相関が見えなくなる。宗教的行為が脱世俗化(現実社会から離脱)して不安と不満が常態化してしまう。たぶんカウンセリングや心療内科に近いものになってきた。一部の団体は宗教じゃないを売りにする。世俗主義にも宗教にもコミットしない第3の領域を主張する。カルト問題というと、宗教カルトだけでなく、ねずみ講のような商業カルトや自己啓発セミナーなどの教育カルトもある。他にエコカルトや自然食品カルトもある。訴訟問題をかかえているのはカルト宗教と分かる。現代霊性のフィールドは何かとつながりたい、自己変容したいという欲求がある。ヒーラー、アロマテラピスト、気功、占い、パワーストーン、スローライフ・フード、風水、自然食品、金運財布、占星術などの霊性・スピリチュアリチィの側面もある。