貧乏国ニッポン

貧乏国ニッポン

加谷珪一

内外価格差が開いている。国内品だけで暮らすなら問題ないが、石油、食料品など海外依存度の高い製品は、輸入価格が上昇している。日本は諸外国に比べ、安い国になった。給料や物価はG7諸外国に比べ4割くらい安い。ただし、グローバル商品のiPhone、自動車、大都市の住宅は高い。日本は非正規社員というワーキングプアがいて格差があり、年金制度は現役収入の5割程度の給付(単身低収入は35%と低い)で、生涯労働が必要になっている。日本だけがこの20年間昇給ゼロで、労働者の賃金は下がり続け、物価は輸入品の影響でじわじわ上昇し、生活水準が年々低下している。これは日本企業のビジネスモデルが薄利多売から脱却していないことによる。日本人は利益のある仕事を見つけ、収入を確保してゆくしかない。日本は1億人の消費市場と経常黒字を積み上げた巨額の資本蓄積がある。国内消費で経済を回すようにするのがいい。日本のGDPに占める輸出および輸入の比率は約16%である。日本は国内消費大国なのだ。日本は国内消費と資本蓄積を活用した国内投資で、十分に豊かな生活を送れるポテンシャルがある。