反株主資本主義、反グローバリズム、反金融緩和策
格差大国を追う日本の行方 中原圭介
反株主資本主義(反新自由主義)の流れになってきた。1980年代サッチャー・レーガノミクス市場原理主義によって労働者より資本家が強くなった。結果、労働者は中流から没落した。アメリカも日本も非正規雇用者・低賃金者が4割、5割になり格差が拡大した。そして、その結果、反グローバリズムの流れにもなってきた。
1992年ソ連崩壊により、世界を一つの市場とする動きのグローバリズムになった。①共通通貨(EUのユーロ)②国境パスポートなし(EU)③安い労賃・生産拠点の制限なし(中国の生産独占)④通信技術発達(Facebuook、X、インスタグラム、YouTube、Line)⑤関税緩和の自由貿易。メリットは国際分業による世界経済大成長。2022年世界全体GDPは100兆ドル、1992年25兆ドルで4倍になった。デメリットは市場競争による貧富の差拡大。海外の低賃金労働者と国内への低賃金移民による自国民貧困化と自国産業の衰退。
反グローバリズムの台頭 グローバル化によって自国産業衰退、移民が増加して雇用が減少した非正規労働者や失業者によって、反グローバリズムの動きが広がる。イギリスでは2020年47年間加盟していたEUから脱退。アメリカでは中間層以下の貧困化により、ナショナリズム(国家主義)がたかまり、2017-2021年トランプ大統領が誕生した。中国の習近平主席・共産党は共産党第1主義・自国優先主義であり、近年国際協力的でなく、中華主義で反グローバリズムになっている。ロシアのプーチン大統領も反個人主義、反グローバリズムである。
世界の金融政策は超低金利、量的金融緩和策から脱却しつつある。2006年アメリカFRBベン・バーナンキ議長(ヘリコプター・ベン)はサブプライムローン失敗によるリーマンショックを脱却するため、超低金利、量的金融緩和策を推進した。2013年(11年前)黒田東彦日銀総裁もマネーを市場に供給した。両者とも見事に効果を発揮した。しかし、株式、不動産という資産に投機マネーが流入して不動産バブルが生じてしまった。アメリカ・シアトルの賃貸住宅は11m₂(2m×5m)が750ドル(11万円)、東京のワンルームマンション18m₂(3m×6m)が10万円。独身者は毎月家賃10万円、生活費20万円を払うと貯金は少ない。結婚は経済的に出来ない。アメリカ金利国債1年 0%、10年 4.3%、日本金利 0%、10年0.75%。日本は2024年3月今月にマイナス金利政策を解除して金融政策を転換した。