国家が戦争をしない時代になった
経済で読み解く大東亜戦争 上念司
戦争の原因は経済的問題である。ポーストの「戦争の経済学」によれば、アメリカは朝鮮戦争までの戦争には経済的メリットがあったが、それ以降は核兵器の時代になり、儲からない案件になったと言っている。戦争しても得にならないと、国家が思えば戦争は起きない。核保有国同士が相互に核兵器を撃ち合った場合、その被害は甚大であるので、核保有国同士の戦争は自ずと起きない。相手国が核兵器を使用せざるを得ない状況に追い込んではいけないので、通常兵器による軍事的な侵攻も難しくなった。国家間の戦争というものは、核兵器が登場してから、激減している。支那は同じ核保有国であるインドのラダック地方に越境侵入した。しかし、中印全面戦争にはなっていない。アメリカの核の傘で守られている日本の尖閣諸島にも、支那の公船が押し寄せてきてはいる。しかし、支那海軍が本格的に尖閣に上陸作戦をするということはない。正規軍同士の本格的な戦闘は発生しない。ウクライナで戦っているのは、ウクライナ政府と分離独立派の武装勢力であり、アメリカとロシアが直接戦っているわけではない。いわゆる代理戦争である。中東で戦争しているのは、国家の体をなしていない武装勢力やシリアやイラクのような失敗国家である。こういったゲリラなどの非正規戦争やテロなどが頻発している。