現金は格差のない決済手段
中日新聞 植村財務省印刷局業務部長
コロナ禍を機に、クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレス決裁の利用が目立つ。世界各国のキャッシュレス決裁比率はおおむね6割、日本は3割である。日本は現金支払い利用を好む。その場で支払いが完了する。(44%) 多くの場所で利用できる。(43%) 使い過ぎる心配が少ない。(38%)などである。現金の利用のメリットは、日本の紙幣はきれいで高品質のため信頼が厚い。災害や長時間の停電や機器の故障時には、電子決済が出来ない恐れがある。現金の匿名性を求める人もいる。電子決済に抵抗感を抱く人もいる。店側も電子決済事業者に支払う手数料がばかにならない。
そもそもキャッシュレス決裁はお金のある人が使うことを想定したものといえる。クレジットカードや銀行口座を持てない貧困層もいる。現金に需要と利便性を感じる人が一定数いる。金とは、誰もが使える、いわば格差のない決済手段だ。キャッシュレス化がどれほど進んでも、現金を使うことは消えることはないだろう。