プーチンの暴走
(中日新聞、名越健太郎・拓殖大)
ソ連崩壊の要因理由は、物不足であった。プーチンが、支持率が高く長期政権でいるのは、2000年にプーチン政権が誕生して、エネルギー価格が高い状況になり、海外から消費財(ブランド品、車、海外旅行など)を買い、史上初めてロシアに消費社会が誕生したためである。欧州企業はロシア市場に参入し、物を売り作り、消費社会になった。プーチンは、ロシア、ウクライナ、ベルラーシの3国の帝国を考えていたのに、ウクライナがNATOに入ろうとしたことが許せなかった。大統領就任当初は現実的で柔軟だったのに、いまは現実が見えていない。ウクライナをロシアの一部とみなすプーチンの歪んだ歴史観と旧KGBの暴走が、ウクライナ侵攻を生んだ。ウクライナが核拡散防止条約に加盟し核放棄する代わりに、ロシアが米英両国とともに、ウクライナの領土保全を約束した1994年のブタペスト条約がある。プーチンは、ブタペスト覚書に完全に違反している。