2023年日本経済の苦境

2023年日本経済の苦境

(中日新聞 荻原博子、野口悠紀雄、小林美希)

荻原博子ー日本経済は停滞している。賃金や年金は上がらない。物価が上がる。増税と社会保険料アップは続く。家計は貧しくなってゆく。対応策は①もう高額のお金は使わない②食品は安くて問題のない外国製品や旬の国産野菜を使う。個人消費は伸びず、経済は縮小する。2023年はそんな年になる。

野口悠紀雄ー1990年半ば以来、バブルが崩壊し、30年が失われた。賃金が上がらない。理由は、日本企業の付加価値(労働生産性)が増えないためである。付加価値とは、売り上げから原価を引いたもので、そこから賃金が支払われる。1990年半ば以降、IT革命と中国の工業化という大変化が起きた。日本は中国の安価製品への対応策として、円安による価格競争強化と補助金しか策がなく、新技術・新ビジネスの開発が無かった。

小林美希ー民間給与所得者の平均年収は443万円。平均年収では、普通の暮らしができない。これが日本の問題です。所得の格差は、中間層が崩壊し、非正規雇用が増加し、社会の分断をもたらしている。飲食、サービス、観光業は雇用の受け皿は大きいが、正社員を増やす余裕はない。日本はモノづくりへ原点回帰をするべきだと思う。