日本半導体不足への対応

日本半導体不足への対応

(半導体不足で大崩壊する日本の産業 深田萌絵、その他)

2021年半導体不足で国内自動車生産が約10%減産した。GDP5兆円減、雇用4万人減の影響が出た。日本車は大幅な納期遅れの状態になっている。半導体不足は2024年まで続く見込みである。日本は半導体不足への対応が迫られている。半導体不足は自動車だけでなく、家電、通信、コンピュータ、兵器の生産にも、影響が直結する。半導体市場は年率7%で成長している。問題解決には、サプライチェーンの見直しが必要になっている。

日本は、1980年代は世界最強の半導体生産国であった。1996年日米半導体協定で、重税がかけられた。次に大型コンピュータからパソコンへの時代変換についていけなかった。その後の台湾、韓国への技術移転、技術移転による類似チップの闇市場の存在などで、日本の半導体産業が衰退した。アップルなどは半導体部品を、台湾に低価格生産させ、設計に特化した。高性能な半導体製造は台湾TSMC(受託生産56%シェア)に依存するようになった。現在、半導体製造工場のメインは、インテル、台湾TSMC、サムソンである。半導体売上高では米インテル、サムソン電子、TSMC、韓国SKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーである。自動車用車載半導体は、10年前の技術で儲けが少ない22nmプロセス半導体である(現在はスマホ用5nmが圧倒的収益源になっている)。自動車業界で不足しているのは、古いロジック半導体である。利益が大きくない半導体の工場を数千億円かけて作るのは難しい。米中関係悪化から、中国系半導体企業から調達・増産が難しくなった。経済産業省は、TSMC,ソニー、デンソーの熊本県半導体の新工場1兆円の内、5000億円の補助金を出す。4月に着工して24年12月完成。同じく、経産省はキオクシア(旧東芝メモリ)と米ウエスタンデジタル(WD)が四日市市の半導体施設に1000億円の補助金を出す。自動車やデータセンターに搭載される3次元フラッシュメモリー第6世代を生産する。国内で生産できるのはキオクシアのみ。24年3月から量産する。

国産半導体メーカーはルネサスエレクトロニクス(三菱電機、日立、NECの統合、産業革新機構、デンソー、トヨタ株主)(世界ランク15位、国内でキオクシア次ぐ2位、車載マイコンは世界シェア1位、汎用でも3位)と旭化成エレクトロニクスおよびデンソーとユナイテッドセミコンダクタージャパンの協業(300mmウエーハ・パワー半導体を生産(経産省補助金)などある。

今回の半導体不足は、コロナ禍の需要盛り上がりだけが理由ではない。米中関係の悪化により、一部の中国系半導体企業からの調達・増産が難しくなったことから起きている。結果として、台湾など一部地域に依存し続けることが難しくなったのだ。国が補助金を出すのは、自国産業の維持と米国方針対応のためである。