インフレでも預金は強い
(私たちはなぜこんなに貧しくなったのか 荻原博子)
1997年、アジア通貨危機が起きた。韓国は、外貨準備高が20億ドルと乏しかったので、外国資本の急速な引き上げに対処できず、株が大暴落し、国内金融が麻痺状態になった。1ドル800ウォンで推移していた韓国ウォンが2000ウォンを突破し、IMFに救済を求めた。IMFは、金融、貿易の保護政策を撤廃させた。サラリーマンの4分の3が失業した。
実はこの時、株も土地・住宅も暴落する中で、貯金だけは、国が全額保護したので、急激なインフレによって、利息が31%に上昇した。急激なインフレなのに、「預金」は強かったのである。急激なインフレになると、土地・住宅や株は暴落し、借金の金利はべらぼうに上がるのだ。この時の韓国の住宅ローンの延滞金利は60%で、家を投げ売りし、住宅価格も暴落した。一方、暴落した株や土地・住宅を買った人は、大金持ちになった。韓国はIMFによって、財政的には立ち直った。けれど、一握りの金持ちと大多数の貧しい人の国になった。ミニ・アメリカになった。