知識社会で目指すべき職業

知識社会で目指すべき職業

(上級国民/下級国民 橘玲)

1.若い人がこれから目指すべき職業

①知識社会化・リベラル化・グローバル化

人類は石器革命、農業革命を経て、約300年前の産業革命により、テクノロジー社会・知識社会になり、人口爆発が起きた。自由貿易により、空前の豊かな国民になった。豊かさを背景に価値観の大転換が起きた。好きな職業を選び、好きな相手と結婚し、自由に生きることが当たり前になった。1960年代より自由化=リベラル化になった。私もあなたも自由だ。自由な社会は、自己の自由・自己実現と自己責任が表裏一体である。能力主義でリスク社会になった。リベラルはスティーブ・ジョブスに見られるような、ピッピーカルチャー・ボボス(ブルジョア・ボヘミアン)のライフスタイルが世界中に広まっている。

②将来の仕事は、定形標準仕事、対人サービス仕事、知的クリエイティブ仕事の3つ(ロバート・ライシュ)

工場労働などの定形標準仕事は20%を占めるが、テクノロジーの進歩とグローバル化により減少し賃金低下してゆく。対人サービスの仕事は半分近くを占めるが、テクノロジーの進歩により、減少、賃金低下してゆく。知的クリエイチブな仕事は20%を占めるが、賃金は増え続け、求人も増加する。エンジニア、投資銀行家、法律家、経営コンサルタント、システムアナリスト、マーケッティング専門家、大学教授、ジャーナリスト、映画製作者などである。これらに就業するには、上位20%以上の大学を卒業した専門家である必要がある。

③格差の拡大・プアホワイトとリベラルの分離

デジタル社会に対応できない、仕事を失い中流から脱落しつつあるトランプ支持のプアホワイト・陰謀論者とシリコンバレーの自由主義・右翼進化論者の起業家が、ラジカルレフト・エリート主義のリベラルと敵対している。トランプは、移民を追い返せ、自由貿易などやめてしまえ等、乱暴な主張をして支持を得ている。格差拡大では、教育は高所得者有利、その結果、経済格差をさらに拡大している。日本では正社員とフリーターの生涯所得格差は2億円。上流/下流は学歴格差である。ニート(NEET)はノット・エデュケイション・エンプロイー、トレイニングである。上流国民のイメージは、年収1000万円、退職金3000万円、厚生年金・夫婦で月30万円、ただし、税金3分の1、子ども・家に高額費用で、これでもカツカツである。