アフターコロナの世界
(アフターコロナV字回復する世界経済 武者陵司)
1.コロナ以前と以後
以前は①ビジネス・生活・金融・政治のデジタル・IT・ネット化②財政・金融の禁じ手解禁による大きな政府③中国の孤立化と国際秩序・分業の再構築に対して、抵抗勢力の反抗(ネット拒否、健全財政信仰、緊縮金融信仰、中国経済の脅威・恫喝)があった。結果、①デフレ(=供給力余剰)②ゼロ金利(=資本余剰)③貧富の格差拡大であった。コロナパンデミックはこれらの阻害要因をことごとく破壊するだろう。
人と人との直接接触を避けるため、ネット化、デジタル化がコスト削減と新商品開発を進める。各国の財政の桁外れの拡大と中央銀行の信用緩和、緊縮財政の縛りの廃止で、インフレも金利高騰も起きない景気回復が起きるだろう。その結果、社会のセーフティネット、ユニバーサル・ヘルスケアとベーシックインカムの時代を開く。
コロナにより、国際社会は脱中国で腹が決まった。中国からの生産拠点のシフト、国際秩序再構築の流れになった。
2.変わるもの、変わらないもの
①グローバリゼーションは変わらない。中国に依存したサプライチェーンは見直される。米国のプレゼンスの高まり、中国の孤立化、欧州の停滞、米英のアングロサクソン連合とパートナーシップを結ぶ日本の浮上が強まる。
②個人の生活は変わる。インターネット化が進む。社会生活も変わる。ハンコの省略、ドキュメントのデータ化、マイナンバー化、金融・教育・エンタメのIT化進展、ネットで生活コスト低減など。
③金融政策と財政政策の禁じ手の解禁。2008年のリーマンショックで中央銀行の量的金融緩和(QE)が成功し、新しい金融政策になった。今回のコロナショックで、放置しておくと大恐慌になるので、巨額の財政赤字の容認があっさりと解禁された。財政赤字を減らせというアジェンダは全否定された。デフレ状態にある時は、需要を創造する財政赤字は、インフレも金利上昇も引き起こさないことが分かったのだ。不況時の財政出動による需要創造は正しい。