人間の睡眠
(動物はいつから眠るようになったのか 大島靖美)
1.人間の睡眠
睡眠、それは人間の人生の3分の1を費やす重要なものである。睡眠の目的は、脳(人間のエネルギーの2割消費)および神経と筋肉・内臓の肉体の休息と機能回復である。活動性・記憶力・判断力などを高める。動物の宿命とも言える。哺乳類・鳥類などはレム(Rapid Eye Movement、目玉の早い動き)とノンレム睡眠がある。レム睡眠は1晩で数回起こる。眠りが浅く、夢見る状態である。人間の睡眠は、1.5時間周期で、眠りが深くなり浅くなる。眠りが深いノンレム睡眠の最後にレム睡眠が出現する。レム睡眠の時間は20%である。レム睡眠中に記憶が整理される。ノンレム睡眠は大脳の休息の役割がある。人間の睡眠時間は大人で7~8時間、老人になると徐々に減少し6時間位で、眠りの深さも浅くなる。睡眠のリズムは朝の光によって合成され、目覚め・概日リズムが調節される。オレキシン作動性ニューロンは、目覚めているときに活動し、睡眠時に停止する。満腹になると血液中のグリコースが高くなり、オレキシン作動性ニューロンは抑えられる。そして睡眠が誘発され眠くなる。人間の睡眠の時間帯は普通型(11-6時)、夜型(1-8時)、早朝型(7-2時)などある。
2.脊椎動物の睡眠
動物は脊椎動物(哺乳類など)と無脊椎動物(昆虫・甲殻類などの節足動物とエビ・イカなどの軟体動物)に分かれる。魚類⇒鳥類⇒哺乳類と発展すると睡眠も進化した。
①魚類の睡眠
魚類は約2万種で脊椎動物の約半数5割を占める最大の類。サメなど軟骨魚類900種と21000種とほとんど全てを占める硬骨魚類がいる。エラ呼吸がほとんど。夜間の遊泳時間は昼間の2~3割で、動き活動のない眠りの時間は4時間位と短く、回数は人間の50~100倍と断片化している。
②鳥類の睡眠
鳥類は8600種で、哺乳類の2倍で、魚類に次いで脊椎動物で2番目に多い種(約2割)である。肺呼吸で、体温は恒温で40℃程度と高く、レム、ノンレム睡眠がある。睡眠は夜間6~8割眠るが断続的である。寝ている間でも糞をする。海上を飛び続けるカモメなどは半球睡眠がある。渡り鳥は飛びながら眠て、眠る時間が3分の1になる鳥もいる。
③哺乳類の睡眠
哺乳類は脊椎動物44000種の約1割4500種いる。寝姿は普通横になる(ゾウは立って寝る)。安全な場所で眠る。狩りの関係で夜間行動型と昼間行動型がいる。敵に襲われる恐れのある動物は短時間睡眠である。肉食動物は睡眠時間が長く、草食動物は睡眠時間が短い。哺乳類は体温を37℃前後に保つ。恒温動物で常時熱を産生する必要があり、絶えず酸素を消費する。冬眠は休眠であり睡眠とは少し異なる。