日本人は物見遊山が大好き
(観音さまだいすき 信濃毎日新聞社)
江戸時代に日本を訪れた外国人は、日本で伊勢参詣(さんけい)などの旅が盛んであることに驚いた。日本人は男女ともに、毎年巡礼をする。アジアで一番の、大の旅行好きである。日本の国民性だと述べている。神仏の参詣にかこつけた物見遊山は、江戸時代後期の、生活水準の上昇と安全な旅行インフラの普及に伴い、経済的な影響も大きく、領主も、医療のための温泉や信仰のための参詣には寛容であった。農民・商人に余裕生じれば、娯楽や遊びを求めるのは自然の成り行きであった。
平安末期の梁塵秘抄に、後白河法皇の大好きな今様、遊びせんとや生まれけん。戯(たわむ)れせんとや生まれけん。にあるように、文化や医療や信仰にかこつけて、遊ぶのが日本人の国民性なのだ。
法華経に、人を救うために色々な姿で現れる、観音三十三身という言葉があるように、33か所に巡礼する33ヶ所観音巡礼がある。西国(三井寺など)、坂東(浅草観音など)、秩父、信濃33ヶ所など、平安時代1000年前から巡礼道がある。信仰物見遊山として定着した。
観世音菩薩 山尾三省
観世音菩薩 というのは
世界を流れている 深い慈愛心のことである
一人の人が ぼくに喜びを与えてくれるならば
その人は 観世音菩薩なのである
一本の木が ぼくに慰めを与えてくれるならば
その樹は まごうことなく観世音菩薩なのである
あなたが清らかな水を飲んで おいしいと思うならば
その水は 観世音菩薩なのである
観世音菩薩の像に接して やすらかな気持ちになれば
その像も むろん観世音菩薩なのである