納豆菌と麴菌
(幻のアフリカ納豆を追え! 高野秀行)
食品を発酵させ、デンプンやタンパク質を糖やアミノ酸にすると、うま味や甘味が出て、体にいい食品になる。醤油や味噌は麹菌が発酵させ、納豆は納豆菌が発酵させる。
納豆菌は稲わら等の枯草に潜んでおり、菌として暑さ寒さにも強い最強の菌である。大豆などの豆を茹でて稲わらに乗せ、40℃位の所に置いておくと簡単に納豆になる。煮た豆を葉っぱに包んで囲炉裏の上に置いておけば簡単に納豆になる。豆の原型だと食べにくいが、納豆菌で発酵させるとアミノ酸になり食べやすくなる。腸まで届き、善玉菌を増やし、血栓を溶かし血液サラサラにする。豆さえあれば、有用食品にすることができる。納豆は、においもあり、正面に出ていないので、自国だけと思っている国民が多いが、なんと納豆は世界中で作られているのだ。一番、量の多いのは西アフリカのサハラ砂漠のヘリ半乾燥地帯(サヘル)に自生するパルキアの木の実(大豆によく似た豆)を納豆にすることだ。サヘルはナイジェリア等15か国にまたがり人口が多く、世界最大の納豆地帯と言える。次はアジア照葉樹林地帯9か国の納豆地帯になる。人類は同じで地域が違っても同じものを求めるようになるのだ。
味噌や醤油は麹菌(米麹菌、麦麹菌など)でデンプンをブドウ糖にし、酵母でアルコール化し、大豆・小麦を発酵させれば出来る。米を発酵させれば日本酒になる。ただ、麹カビ菌は納豆菌ほど強くなく、条件の良い専用の環境で、蒸した米の上で増やさないと大量の米麹はできない。調味料としては、味噌やその上澄みの醤油の方が圧倒的に優れているので、味噌、醤油が好まれる。納豆菌が混じると麹菌は負けてしまうので、併存はしない。中国や日本の関西九州は納豆は食べなくなった。ただ、韓国の納豆汁チョングチャンは納豆菌と麹菌がまじっているみたいだが。