昭和天皇の歴史認識
(昭和天皇の戦後日本 豊下楢彦)
昭和天皇のお言葉
1.戦争責任について
・そういう言葉のアヤについては、私はそういう文学方面はあまり研究もしていないので、よくわかりませんから、そういう問題についてはお答えができかねます。
・原子爆弾が投下されたことに対しては遺憾には思っていますが、こういう戦争中であることですから、どうも、広島市民に対しては気の毒であるが、やむを得ないことと私は思っています。
・鄧小平訪日に際して 我が国(日本)はお国(中国)に対して、数々の不都合なことをして長い間ご迷惑をおかけし、心から遺憾に思います。
・全斗かん韓国大統領訪日に際して 今世紀の一時期において両国の間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾であり、再び繰り返されてはならない。
2.憲法観
・再軍備は勿論国が独立した以上、その防衛を考えるのは当然の責務であります。
・軍国主義の可能性 私はその可能性については、まったく懸念しておりません。それは憲法で禁じられているからです。
・新憲法 わが国民にとっては、勝利の結果極端なる軍国主義になるよりも、却って幸福ではないだろうか。
3.A級戦犯の靖国神社への合祀(し)
・ポツダム宣言の受諾を前提に昭和天皇にあっては、東京裁判の判決結果を厳格に受け入れるという立ち位置に徹していた。昭和天皇は、裁判の判決に基づいて処刑されたA級戦犯への対応において厳しい立場をとった。一たび有罪が確定すると一切の恩遇は不詮議なのである。
・戦争裁判の永久平和の理想追及の大きな流れを軽視し、今度の裁判の直接の反響のみを見てはならない。真剣真面目に深く自ら反省する処がなくてはならない。
・富田メモ「私は、在る時に、A級(戦犯)が合祀され、その上、松岡、白鳥(3国同盟)までもが。松平(宮司)は平和に強い考えがあったと思うのに、親の心子知らずと思っている。だから、私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」
結局、軍国植民地主義の完全否定だ。