日本は3度目の大躍進期を迎えた
(アフターコロナV字回復する世界経済 武者浩司)
2020年のコロナパンデミックを境に、日本は3度目の大躍進期を迎えた。1度目は明治・大正の日英同盟期(1902-1923年)である。日経平均は10円から70円に上昇した。その後は1945年の敗戦まで70円レベルだった。2度目は、日本が防共の砦となる1950-1990年の日米安保体制期である。日経平均は70円から4万円になった。1991年のソ連崩壊により、2011年までの20年間は、米国の第1の経済敵となり、失われた20年・貿易摩擦・円高長期デフレであった。日経平均は15000円近辺で横這いであった。この間、米国は中国に期待し、資本・技術・マーケット開放をして、市場化と民主化を期待した。しかし、2012年習近平体制になると、共産党一党独裁体制を強め、GDP世界第2位で軍事強国になり、太平洋西半分と東・南シナ海の制海権を確保すると公言してきた。米国は容認できない。そして米国は、2017年以降、中国をデカップリング、日本に中国封じ込めの日米同盟再構築を図り、地政学上必須の国になった。日本は3度目の大躍進期を迎えた。しかも、経済面では、日本は失われた20年の対米貿易摩擦の間に、耐貧困スリム体質が身に付いた。①製造業製品の最低関税国②外国投資、雇用の配当充実③日米産業補完関係ー米国供給は半導体、インターネット、航空機、日本供給は自動車、機械、ハイテク素材④2017年対中投資は2012年比で半減などである。そして①人件費の低下②販管費、流通コストの低下③公共料金の低下で、日本の物価は下落した。かつ日本の企業収益力は6%レベルに向上した。これは、技術優位のオンリーワン戦略とグローバルサプライチェーンの海外部門利益寄与のためである。日本は3度目の大躍進期の実力を確保している。日本の人口は減少してゆくが、日本の利益は、労働力が稼ぎ出すものではない。オンリーワン技術戦略とグローバルサプライチェーンによるものであり、労働力人口とは関係が少ない。コロナパンデミックが一段落すれば、日本は米国経済とともに、力強く回復するだろう。日経平均も上昇が見込める。