米中対立激化ドル高円安がいい
(勝ち続けるアメリカ経済、一人敗けする中国経済 武者陵司)
1990年東西冷戦が終了した。ソ連が退潮し、世界第2位経済の日本がアメリカの第1の敵になった。日本叩きが始まった。超円高政策だ。日本の労働者は2倍の高賃金になった。アジア貧乏旅行が流行した。30年デフレが始まり、労働者の賃金は切り下げられ、物価が安くなり、日本企業の競争力は落ち続けた。産業の米である半導体生産は、1990年には世界の5割を生産していたが、2020年には1割に落ちてしまった。現在は、台湾、韓国が各2割、中国が15%で、3国で6割生産している。
習近平中国共産党体制になり、米中冷戦になり、地政学的に日本はアメリカの最重要同盟国になり、再び、かっての半導体生産国復活の動きが出てきた。日本に地政学的な歴史的追い風が吹いてきた。
中国の超高度経済成長を牽引した投資は、外資流入と対外債務の増加によって賄われた。中国の外貨準備高の過半が他国資本に依存している。ドル高になると、外貨流出、債務残高増加が起き、中国経済は苦しくなる。中国経済成長がダウンし、中国がクラッシュするかどうかの大きな山場は、習近平が2期目を終える2023年前後というのが、専門家の見方である。
バイデン政権は、米大統領選挙と台湾総統選挙が重なる2024年に、中国が台湾を侵攻すると予測している。国家対立の主戦場は、経済安全保障に移った。日本企業は、米国と中国部門の人事を含む社内デカップリングが必須となった。日本政府および企業は、台湾有事が数か月に及ぶことから、第2列島線へのミサイル、半導体などのサプライチェーンの機能停止、中国市場からの締め出しなどへの、業務維持計画の立案検討が早急に必要になってきた。