小豆あんこの歴史

小豆あんこの歴史

(あんこの本 姜・かん 尚美)

鎌倉時代、宋の禅僧が伝えた点心(羊羹と饅頭)がルーツ。1日2食時代のおやつ感覚。宋では肉を餡としたものであったが、肉食禁止の禅宗の手前、小豆・あずき(日本では6000年前の縄文時代から栽培されていた)などを使って作った。砂糖入りの甘いあんこは、江戸時代、徳川吉宗が砂糖の国産化を進め、甘いあんこが庶民に普及した。吉宗は安倍川餅が好きだった。以後、色々なあんこの菓子技術が開発された。(関東用語を使用)粒あん、こしあん。上生菓子用に練り切り=こしあん+餅+砂糖を蒸さずに練る。しるこ=粒あんの汁気あり。ぼた餅(春分)、おはぎ(秋分)。その他色々なお菓子=練り羊羹、まんじゅう、大福もち、もなか、どらやき、きんつば、桜餅、柏餅、あんころ餅等。

作家もあんこが好きだった。夏目漱石は練り羊羹。向田邦子は水羊羹。芥川龍之介は下戸だったので、近くのしるこ屋がなくなったとき嘆いた。また、老人があんこが好きなのは訳がある。脂肪分解能力が低下するので、エネルギー即効性のある炭水化物・小豆のデンプンと砂糖=あんこ菓子を求める。小豆の栄養が老化防止に役立つ。ポリヘノール、食物繊維が多い。脳は体の20%のエネルギーを消費するが、ブドウ糖のみで対応する。ブドウ糖を作るデンプン・砂糖の燃焼を助けるビタミンB1が多いので、老人の脳によい。利尿作用のサポニンが多い。色々と老化防止に役立つ。