グローバル化非正規労働者と老人優先経済の時代
(老人優先経済で日本が破綻 山下努)
経済のグローバル化が進み、日本の労働者の4割が非正規労働者となり、現代の若者が疲弊している。グローバル化時代、企業が製品・サービスを安く仕上げるためには、低賃金労働者が必要になり、4割の若者が非正規雇用になった。安い海外製品のため、工場は海外に移され、国内の仕事が減り、低賃金非正規雇用が定着した。人件費比率は、だいたい、卸小売りで2割、建設製造で3割、飲食宿泊サービスで4割くらいだ。現在、最低時給は、中国300円、日本900円くらいで、中国は日本の3分の1くらいだ。非正規雇用の人件費でも苦しい。非正規雇用年収175万円、正規雇用500万円である。非正規雇用の若者にも、生活費、住居費、子供養育教育費などフルにかかる。一方、高齢者世帯年収は1人当たり190万円で、7割が公的年金である。そして、現役世代は、主に高齢者が使う公的年金50兆円、国民医療費40兆円を、毎年収め仕送りしている。高齢者世帯は、個人金融資産1500兆円および不動産の7割を持っている。高齢者のお金の使い道希望順位は健康医療介護43%、旅行外食38%、子供・孫関係33%である。若者の結婚難も問題だ。生涯未婚率は男性25%、4人に1人、女性15%である。少子高齢化が進む。企業年金は1952年アメリカのGM(コンサルタントはドラッカー)が、世界で初めて確定給付年金(支払額固定)を始めた。リーマンショックでGMは財政破綻したが、その一因はこの重い企業年金であった。日本政府は、福祉年金医療予算の不足をマネタイゼーション(政府の赤字を、中央銀行が引き受ける)で対応している。国債60年償還ルールで対応する。
グローバリゼーションは肯定的、否定的意見があるが、現在、アメリカでも日本でも、国民経済的に大問題になっている。肯定的な意見は、国際分業が進展し、最適な国・場所で生産活動が行われるため、効率的、低コストでの生産が可能になり、物の価格が低下して社会が豊かになる。否定的な意見は、多国籍企業の進出や安い輸入品により、国内産業が競争に負け衰退する。労働者の失業や賃金低下が起こる。国内・地域で得られた利益が、他地域国外へ流出し、国民が貧しくなる。国内での所得格差が激しくなり、格差社会・階級社会になる。