生活の基盤は自助と家族助け合いのみ
(下流老人 藤田孝典、家族難民 山田昌弘)
日本人の生活の基盤は、自助と家族助け合いのみである。生活保護受給要件は、病気などで自助が出来ない人であり、かつ、家族のない人のみが対象となる。
国が定める健康で文化的な最低限度の生活=生活保護レベルとは、①収入が13万円/月程度。生活保護基準の生活扶助費8万円と住宅扶助費5万円、計13万円、年額150万円。これに医療・介護保険代、所得・住民税が必要。この額は相対的貧困=中央値の半分に満たない所得、全世帯の2割程度がこの貧困状態にある。②貯蓄がない。これも2割程度いる。日本の1ヵ月の生活費は、家計調査によると、2人暮らしで27万円。この額に不足する収入の人は、貯金を崩すしかない。突然の事故、病気、トラブルへの対応も困難である。③頼れる家族がいない。生活に困ったときに、家族がいないとセーフティネットがない。この状態になったら、昔ながらの姥捨て山=阿弥陀如来を念じながら、飢えと寒さの中で病気で死んでゆくしかない。実際、現代の餓死者孤独死は多い。
現在の日本はこの20年で、大量のアンダークラス(下層階級)=非正規労働者が生まれた。全労働者5700万人の4割、2200万人。平均給与175万円(正規は500万円)。退職金・賞与なし。年収400万円以下は老人になった時、下流老人になる。月生活費収入が13万円から15万円以下(厚生年金でなく国民年金多い、または少額の厚生年金)、何歳になっても、死ぬまで働く、健康保険代・窓口負担代がなく医療難民、住宅がない、貯金は500万円以下またはほとんどない状態になる。
結論は、自助努力と家族助け合いが、本当に必要な時代になったということだ。