これからの日本経済と株価
(PRESIDENT 7月31日号)
今回2020年のコロナショックの、株価の底は3月でした。FRBは2008年のリーマンショック金融危機を経験して、「金融危機は起こしてはいけない」という命題と解決策を中央銀行が理解し、対策を打っている。株式市場を支えているのは、FRBの無制限の金融緩和(22年末まで約束)とジャンク債、アメリカ国債の買い入れです。FRBがほぼゼロ金利の政策を打っているのは、リーマンショック時と今回の2回です。FRBはリーマンショックが起きてから、08~15年の7年間ゼロ金利を取りました。今回は22年まで3年間ゼロ金利を約束しており、長引く可能性もあります。
日本経済のリスクは、FRBの最後の利上げの18年12月から、今年末ごろ2年たち、過去は、2年で円高になっていました。リーマンショック時の円高は、アベノミクスで円安に戻りました。今回もFRBと日銀は金融緩和を続ける見込みで、円高と現状110円レベルの綱引きになるでしょう。
日本経済のGDPや雇用が元に戻るのは、5年後2024年末の見通しです。日本の隠れ失業者数は、リーマンショック350万人、今回は500万人です。また、家計は金融資産1900兆円(うち現金預金1000兆円)を持ち、海外消費から国内消費に移り、国内消費増加の可能性がある。国債残高は900兆円あるが、世界各国に貸しているお金、対外資産残高は1000兆円あり、税収の範囲内での支出というプライマリーバランスの考え方は、金本位制の思い込みと同じで間違いである。
日経平均株価はどうなるか。日経平均株価のPBR(株価純資産倍率)は、過去0.9~1.3である。現在、1.08で1年前に戻っている。3月16日に0.8倍まで売り込まれたが、過去20年で0.9倍を下回ったのは、リーマンショックとギリシア危機とコロナショックだけである。PBR0.8の1万6000円が下値になる。現在、日経平均株価の予想配当利回りは、2%である。日経平均が3万円になっても、配当利回りは1.7%ある。0%の預金や国債より、株式買い余地は絶大である。
(追加)今年はコロナショックで3月に暴落した。6月には戻した。世界の認識はリーマンショック並みの4,5年の大不況を覚悟している。FRBは社債を買う、ゼロ金利を2023年末まで継続すると宣言した。日銀はコマーシャルペーパーを買う、55兆円から90兆円(+35兆円、1.6倍)に金融緩和をすると言った。黒田日銀総裁の任期は23年4月まである。これで大量の緩和マネーが生まれ、23年までは大きな2番底はないと認識された。菅新政権は21年、22年とコロナ対策と景気の腰折れ防止に全力を挙げることになろう。