タックスヘイブンによる税金下げで格差拡大

タックスヘイブンによる税金下げで格差拡大

(大村大二郎)

課税が軽減・免除されるタックス(税金)ヘイブン(回避・地)はイギリスが作った。南海の小島に数百兆円の金が流れ込むが、イギリスは手数料だけで、むしろ国家に多大のの損害を与えている。タックスヘイブンは大企業、富裕者層の税金の抜け穴になり、そのため大企業、富裕者層の税金を安くせざるを得なくなった。先進国の法人税率は、1980年の50%程度が2013年には半分の25%程度になった。代わりに低所得の中小企業にも課税するようになった。同じく富裕者層への相続税は75%から55%になった。累進課税から、抜け穴のない逆進課税の消費税に頼るようになった。当然のことに、貧富の格差は拡大した。世界の上位60人の資産200兆円は、世界人口の半分・下位36億人の資産と同じである。

日本でも富の集中と格差の拡大は進んでいる。年収200万円未満の給与所得者は2000年800万人が2018年1100万人になった。フリーター・ニートは含まれてなく、低所得者層はこの数倍いる。300万円未満になると、4割1900万人の給与所得者になる。一方、日本の億万長者は2004年140万人が2013年280万人に倍増している。また、日本の個人金融資産は2019年末で1900兆円(内現金1000兆円)であるが、多くは一部の富裕者層が握っている。企業内の給与格差も進んでいる。トヨタ自動車の2020年3月期の社内取締役8人の平均報酬は3億5000万円(固定1.1億円、業績連動2.4億円)と以前に比べ高額化している。