米国国益ドルの防衛
(バンブーカーテンの世界分断2019年9月 渡邉哲也、猫組長)
元山口組金融ヤクザで金融実態を知る猫組長(菅原潮)と渡邉哲也がお金の真実を話し合った本である。
1.お金は正直だ。ドルの国益で世界が見える
どんな綺麗事もお金の前では無力である。世界最大の共産主義国、中国が世界一の格差社会であるのはその典型である。お金で世の中の本音が分かる、経済の血液であり、止まれば壊死してゆく。世界通貨ドルは石油、資源、最強武力を持つ通貨である。これら交換力を持たないユーロ、人民元は、ドルに換えないと資源が買えない。従ってドルに変わる金融力を持てない。国際決済のすべてを把握しているのは、アメリカただ1国だけである。すべての激動の出来事の背景にはアメリカの国益がある。
2.中国の排除
2013年中国の習近平主席がオバマ大統領に「太平洋を中国とアメリカで2分しよう」と言った瞬間、米中互恵関係から米中貿易戦争になった。そして、2015年人民元がIMFのSDR(特別引出し権)を得て、ドルに挑戦して、決定的な通貨戦争になった。2019年7月米国防省のインド太平洋戦略は、民主主義「国家」として、シンガポール、台湾、ニュージーランド、モンゴルをあげた。台湾が中国に取り込まれると、中国は一気に太平洋に出てくる。アメリカは中国の1国2制度を否定したのだ。日本も台湾との関係が変わる。現在、日本には、元国民党副主席の故・江会長設立の信託商業銀行の系列の東京スター銀行がある。金融ルートとして使える。
3.アメリカは自国に最先端工場を誘致する。
アメリカは最先端産業のサプライチェーンを自国に移動させようとしている。例えば、半導体台湾TSMC(シェア50%)、韓国サムソン(シェア20%)は、日本の韓国へのホワイト国外し・フッ化水素輸出管理により、アメリカへ工場を移転することになろう。
4.グローバルからインターナショナルのバンブーカーテンで世界は分断される
グローバル企業GAFAは、個人情報、税金、公平な競争の3点で、アメリカ、EUから規制される。プラットフォームという巨大インフラを持つ情報産業は、利益を追求する民間企業から公共サービス事業になりつつある。
また、暗号資産(仮想通貨と呼ばれた。しかし、ビットコイン型は通貨ではない。通貨としての価値保存、決済機能、価値尺度の3点が無く、通貨ではなく、投機型・商品=アセット資産である。)は、ビットコインなどの投機型と、フェイスブックのリブラのような送金用の2種類がある。これら資産移転はマネーロンダリングと同じである。審査が必要になる。国際送金の入金は、銀行から連絡が来て確認してからでないと資金は移せない。これは現在、国際銀行間通信協会(SWIFT)が決済している。2019年7月のG7では、最高水準の規制が必要とされている。中国習近平主席は2019年10月「ブロックチェーンの研究をして、ルール制定権を高める」と発言した。中国は2017年ビットコインなどの暗号資産の取引は禁じているが、ブロックチェーンについては、社会インフラへの活用研究が進められている。