現代人類20万年の人口変遷史
(20万年の人口変遷史 大塚柳太郎)
現代人類と同じミトコンドリアを持つヒトが、東アフリカに誕生して20万年がたった。その間、5,000人から75億人に増えた。その歴史をたどってみる。
1.人口推移 20万年前 5,000人、7万年前50万人、1万2,000年前500万人、5,500年前1,000万人、2,000年前(紀元AD元年)2億人、AD1,500年4億人、AD1,750年7億人、1,800年10億人、1930年20億人、1950年25億人、2000年60億人、2020年75億人、(今後予測)2025年80億人、2050年100億人、2100年110億人ーこれが地球の可容上限か
2.現在の地球人口分布
アジア46億人(61%)、アフリカ12億人(16%)、中南米7億人(9%)、以上で85%、ヨーロッパ6億人(8%)、北米4億人(5%)、オセアニア0.4億人(1%) 以上で100%
3.ヒト前史 600万年前チンパンジーとヒトは共通の祖先から分岐した。400万年前に猿人出現。150万年前原人出現。60万年前ネアンデルタール人出現。
4.ヒト出現 20万年前 現代人類に共通するただ1つの、祖先ミトコンドリアDNAにたどりつけるヒト出現。少なくとも、3,000人の祖先集団が必要。
5.ヒトの特徴 直立二足歩行と脳の大型化。ヒトの赤ん坊は脳が大きいため、未熟児で生まれる。乳歯がそろうのは、生後2年半。歩行完成が7歳。言葉の理解や文化の理解に12年位かかる。長期にわたって子どもの養育が必要。
6.ヒトの誕生 サバンナが主な生息域。強い直射日光で、体毛を減らし、メラニン色素を持ち、汗を出すエクリン腺という汗腺を発達させた。狩猟採集生活の長距離移動にエネルギー消費の少ない二足歩行が有利。霊長類の多くは、植物食性だが、ヒトは動物食と野生のイモ食に依存した雑食性になった。
7.ヒト化 石器などの道具を使う。食物に火を使い、加熱して、動物性食物を食べ、植物も消化しやすいαデンプンに変えて食べる。水さらしの加工技術で毒消しをした。乾燥の加工技術で、保存期間を伸ばした。狩猟採集民となった。コミュニティのサイズは50人程度だった。性による分業。妊娠・出産・育児に多くの時間を使う女性は狩猟に向かないと認められた。女性は植物採集、男性は動物の狩猟を行った。
8.生物適応と文化適応 ヒトは汗腺を得て熱帯での行動に生物適応し、温帯寒帯では衣服・住居を利用する文化適応をした。牧畜民は牛乳を消化する遺伝子を持つ生物適応をし、狩猟では、尖塔石器を作り、大型動物の捕獲を可能にした文化適応をした。
9.20万年前→7万年前→1万2,000年前 5,000人→50万人→500万人 7万年前にメソポタミアに進出。地球全域に移住した狩猟採集民。1万2,000年前には南米に。
10.1万2,000年前→5,500年前 500万人→1,000万人 定住と農耕の開始 野生植物の栽培化(ムギ、米、とうもろこし、じゃがいも、ヤムイモ)と野生動物の家畜化(ヤギ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ニワトリ)。
11.5,500年前→AD1,750年前 1,000万人→7億人 古代文明の成立(エジプト、メソポタミア、ギリシャ・ローマ、インド、中国)、都市の出現と人口の集中・増加。天然痘など感染症のリスク増加。技術の大衆化と人口支持力向上。AD1,500年 現代の幕開け ポルトガル、スペイン遠洋航海で東洋の開発と新大陸の発見。奴隷労働者移住。
12.AD1750年→1950年 7億人→25億人 1750年イギリスで産業革命始まる。ヨーロッパの人口増加、南北アメリカ、オセアニアへの移住。アジア・中東系14億人、ヨーロッパ系8億人、アフリカ系2.5億人。1900年から1950年の50年間は、アジア人口伸張。
13.1950年→2000年 25億人→60億人 2.5倍に 途上国の死亡率が低下。
14.2020年 75億人 地球の人口支持力、地球環境の制約から、人口増加への危機意識高まる。
15.20万年は1世代25年とすると、8,000回ほどの世代交代があった。その大半は、野生動植物だけを摂取して生きてきた。