人生90年時代の日本の雇用年金制度

人生90年時代の日本の雇用・年金制度

(元慶大学長清家篤ほか)

1.日本型の雇用慣習<大企業男中心ではあるが)

①新卒一括採用(若年失業率が低い、仕事を教えるー他国にはない国の宝だ。今後も維持が必須)

②年功序列(生活給の年功賃金カーブ、長期計画)

③終身雇用(生活設計しやすい、長期計画)

④定年制(2025年65歳からの年金支給で、65歳まで雇用が義務化。再雇用が8割で主力。)

女性はパート、アルバイト多い。新卒男性は、ぜひ正規雇用から始めてほしい。

2.日本の年金保険制度

①年金というのは、防貧機能。年金は賦課方式(現役から年金者へ仕送り)で自分積立方式ではない。順送りで若い時にお金を貯め老人に仕送りし、老後に年金をもらう。年金額は現役のときの積立額の反映。少子高齢化で年金制度の持続には、マクロ経済スライド<現役世代と老人世代のマクロで見て給付水準を決定>と<人生90年時代、年金だけで老後が完結する時代でなくなった。自助(自分貯金、より長く働く)、共助(公的年金)、公助(生活保護)のバランスが重要になった。より長く働いて若年現役層の年金負担額を減らす必要がある時代になった。生涯現役の時代になった。>

②現役6千万人、支えられる人4千万人。老人で生活費が不足する人が4分の1いる。1千万人程度。年金が少なく生活が出来ない人を救うのは、救貧機能・福祉政策である。これは、年金制度で救うより、直接税、間接税で救う。しかし、生活保護の壁は高く、貧困者が多い。特に団塊ジュニア世代は就職氷河期で、非正規で厚生年金未加入者が多い。10年加入で年金はもらえるようになった。これからでも、厚生年金に加入して老後対策を立ててほしい。65歳以上の貯金額は、500万円以下25%、500-1000万円15%、1000-2000万円20%、2000-4000万円25%、4000万円以上17%である。70歳を過ぎても、日本人は起業など工夫して、少しでも豊かに暮らしてほしい。公的保険料は年金(介護保険も同一会計に入る)、国民健康保険料とあるが、増えて行く。これからは、医療費(健康運動)、介護費(ピンピンコロリ)、住宅費(中古住宅活用等)の出費削減工夫が必要になる。