米中共存の崩壊

米中共存の崩壊

(The codependency  of America and China unbalanced スティーブン・ローチ 2015年2月著)

アメリカと中国-全く異なる体制で、政治的・軍事的に、つばぜり合いを しながら、中国は過剰生産・貿易黒字、米国債の最大の買い手として、アメリカは過剰消費・貿易赤字、中国最大の輸出先として、もたれ合い共存してきた。しかし、両国は、もはや新しいバランスの調整が不可避である。調整に失敗すれば、世界経済に、新たな重大な緊張をもたらす。

1.両国は健全な相互依存に作り変える必要がある。中国の消費者の台頭とアメリカの生産者の復活である。3番目の経済大国である日本は、リスクと好機に直面するだろう。

2.1930年代のスムート=ホーリー関税法は、世界貿易戦争を誘発した。「決してないとは、決して言うな」ということである。

3.2005年通貨操縦への報復として、相殺関税としてシューマン(民主党)=グラハム(共和党)法・中国通貨改革条項は、否決された。2010年公正貿易に向けた通貨改革法=反中国通過法案が下院議決された。2011年通貨為替相場監視改革法が上院議決された。2015年2月、「2015年アメリカ貿易防衛法」がオバマ大統領の署名を得て発効した。中国にたいする相殺関税を10%引き上げた。中国は米国債入札を見送った。アメリカはドル・株式相場が急落し、厳しい不況に陥った。一方、中国は、輸出が崩壊し不況になった。GDP成長率は4%とハードランディングした。銀行貸出しを増やしたが、不良債権が累増した。中国の需要減は、東アジア諸国、EU諸国、資源供給国(オーストラリア、カナダ、ブラジルなど)の輸出減をもたらし、世界経済は不況に突入した。

4.(ここからは、この本にはないが、トランプ大統領の対中貿易戦争の動向Wikipedia)

<米中貿易戦争(China-United States trade war)>

①2017年中国の対米黒字2800億ドルと過去最高。

②2018年1月22日 アメリカ緊急輸入制限、太陽光パネル30%、洗濯機20%追加関税

③3月1日 アメリカは、鉄鋼25%、アルミ10%追加関税

④3月23日 中国が、アメリカ品に対し128品目15-25%の報復関税

⑤4月16日 アメリカは、ZTEのイラン制裁違反で、アメリカ国内7年間販売禁止

⑥6月2日 アメリカが、中国自動車関税引き下げに対応して、ZTE販売禁止措置解除

<全面戦争開始>

①第1弾(7月6日)アメリカ 340億ドル 25% 約800品目/中国 340億ドル 25% 約500品目

②第2弾(8月23日)アメリカ 160億ドル 25% 約300品目/中国 160億ドル 25% 約300品目

③第3弾(9月24日)アメリカ 2000億ドル(22兆円) 2019年3/1まで10%、3/2から25% 約6000品目 (2019年3/10現在期限延期中)/

         中国 600億ドル 5%と10% 約5000品目

④第4弾(未実施) アメリカ 2700億ドル(30兆円) 10%か25% 残りの全品目

<2019年度国防権限法(8月13日トランプ大統領署名)>

①ファーウエイ、ZTE、(監視カメラ)ハイクヴィジョン、ダーアテクノロジー、ハイテラの5社の米政府機関との取引から排除 禁止は2段階。第1段階2019年8月13日以降、米政府機関は5社の調達を禁止。第2段階2020年8月13日以降、5社の製品を社内で利用している世界中の企業との取引を禁止。(米政府との取引継続か、中国での生産活動を続行かの選択になる)ソフトバンクは5G基地局に中国製品を使わないことに決定。

②その他 台湾防衛力強化、台湾旅行法で高官レベルの交流、中国のRIMPACへの参加禁止、南シナ海監視

<アメリカ主張(10月4日ペンス副大統領)>

アメリカは、中国の経済・政治の不正を、これ以上許さない。

①中国経済 ・関税、貿易赤字 ・世界のハイテク支配、中国製像2025、強制的技術移転、補助金 ・知的財産権 ・非関税障壁 ・為替操作国

②中国政治 ・サイバー攻撃、スパイ活動、アメリカ選挙介入・世論操作 ・人権抑圧管理社会、監視社会 ・宗教への弾圧 ・債務のワナによる借金漬け、南沙諸島人工島建設など帝国主義的、覇権主義的外交政策

<ファーウエイCFO逮捕>

12月5日 ファーウエイCFO孟晩舟逮捕 貿易戦争が関税だけでなく、新たな段階にエスカレート 経済スパイ制裁など

<中国全人代会議 2019年3月5日~15日まで開催>

中国の景気減速と経済のてこ入れ策、米国との貿易摩擦への対応策など経済運営方針を示す