中国市場経済での不正と貧困層の反乱
(現代化の落とし穴 何清漣、暴走を始めた中国2億6000万人流民 石平)
1.中国市場経済での不正
中国は、安い労働力を背景に輸出を伸ばし、高度成長してきた。もう1つの柱は固定資産投資だ。住宅・開発不動産、鉄道、高速道路、空港などハコもの作りでGDPの半分を占める。1980年から2010年の30年間で、中国経済成長率は毎年平均10%だが、固定資産投資は30%だ。この市場経済化で、役人と経済エリートによる不正で、国富利益の8割が抜かれてしまった。
①中国は共産党の一党独裁国であり、政府は共産党の利益共同体である全体主義国家である。
②共産党の統治戦略は・暴力秘密警察による民衆の対抗勢力つぶし・統治内部に対して汚職取締りによる役人のコントロール・経済エリート、知識エリートの共産党内への取り込み・最下層(2億6000万人の農民工、農民)の動乱の芽に対しては、力づくで弾圧、IT技術を用いて検挙する。
③中国は、最下層の困窮がマグマのように動いており、中国共産党政府は、最後には支えきれなくなるだろう。これは、何清漣、石平とも、「2億人以上の暴動者予備軍・現代流民に、共産党社会は解体される」と見ている。これは、官僚層の海外資本逃避の動きからも分かる。
④不正の実態 中国は1978年から市場経済に転換。
・85年までは、個人営業や公務員の民間転出であった。
・85年からは、不正による市場経済化が進む。「品不足商品」を官からその親戚・友人に購入許可証を与え、安く払い下げ、即座に市場で転売して差益を倍額取って、皆で分けた。鄧小平の長男が有名。
・90年頃から、蓄積した資本を元手に、「国有企業の株式化」と「国有地の開発区造成」により、目もくらむような巨富を、苦労なく手に入れた。
・「国有企業の株式化」役人が、赤字の国有企業を、看板をすげ替えるだけで、安い未公開株を身内で取得して、その後上場して、儲けた。収益が上がらないのに、15%程度配当した。
・「国有地の開発区造成」行政役人による、土地(すべての土地は国有地)の分配で、農民から農地を取り上げ、開発区の放出・有料売却。その間で、儲けの役人・縁者による分配。
・「国有企業の資産・所有権の払い下げ」行政役人による、国有企業の資産・所有権の、親戚・縁者への安価払い下げによる利益分配。
2.絶対格差で貧困層の反共産党反乱が起きる。上位3%が預金の60%を持ち、下位10%は預金の3%しか持たない。・農民工2億6000万人は、地方政府に農地を取り上げられ、土地は不動産業者に売られ、自身は安価な輸出産業の労働者になった。中国経済の破綻で、失業したが、農村には帰る場所がない。給料が安く貯金がない。・就職できない又は失業の大卒の若者は350万人。この若い農民工と若い失業知識人が、飢餓で希望が無くなって、反共産党組織になる。共産党との権力闘争勃発の可能性大。
3.内憂、外患で共産党分裂・崩壊 ・内憂は習近平派、江沢民派、胡錦濤派の3分裂で、内部分裂・抗争の可能性
・外患 米中冷戦で、米国と全面対決になり、共産党崩壊の可能性。