渡部昇一の95歳へ!

渡部昇一の95歳へ!

(95歳へ! 渡部昇一)

渡部昇一が77歳の時に書いた本です。彼は86歳で没しています。

「95歳まで生き、現在と同じような楽しい生活、活動を続け、さしたる精神修養もせずに、静かに死にたいと思っています。そのために、高齢者先人との対話での、ボケずに健康でいるノウハウをまとめました。何事かをなす時間は、まだたっぷり残されています。晩年は賢明さより楽しさが大切です。」「人間は、80歳以降になると、死への恐怖も不安もなく、肉体的な苦痛のほとんどなく、サッと寝むるがごとくあの世に逝ってしまうようです。理想的な人生の終わり方と言っていいでしょう。」

中高年の晩年設計の実践論

1.老年の生計目標テーマは、理科系より文科系生活の方がやさしくていい。理科系目標は、進歩を競う競争的な生活であり、文科系の目標は進歩が原則にならない。新しいほうが、レベルが高いとはいえない。晩年には文科系の世界が向いている。

2.病気について 老年の体の不具合は、肉体であって、自分の自由になるもの=意思ではない。心を悩ませる必要はない。

3.老年は何かをしようという意思が希薄となり、漫然と時を過ごすようになってはいけない。

4.イビキと肥満には注意を払おう 知的生活には、前提として健康な肉体基盤が必要です。人類の歴史で、飽食はこの何十年かの例外的な出来事です。人体は餓えに耐える機能を発達させてきました。食べることができないと、血液が運ぶべき糖分が不足します。脳が栄養不足になると一巻の終わりなので、身体は脳に充分な糖分を送ろうとします。身体の脂肪を糖に変えて、低血糖を回避します。ホルモンは、インスリン(高血糖になってしまった時に血糖値を下げる働きをする)の例外を除いて、すべて血糖値を上げる働きをする。人体は低血糖に対して、多くの備えをしている。断食は、低血糖を回避する機能を使うという意味もあります。腹を減らして身体を刺激し、柔軟体操をして体を柔らかくすると、健康な肉体基盤が確保されます。

5.充分な睡眠が疲れを癒し、健康維持の基本になる。人間は一日8時間ぐらい横になって、背骨を重力から解放してやると免疫力が高まるという説もあります。眠りはメラトニンという脳内ホルモンが働き、老人には老化抑制ホルモンとして働きます。昼寝をすることと、寝室寝具の快適環境を作ることが重要です。