2019年10月1日の消費税について

2019年10月1日の消費税について

(暮らしと経済研究室 山家 悠紀夫)

来年2019年(平成31年)10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%に引き上げられる。同時に、消費税軽減税率制度が実施される。軽減税率(8%)の対象品目は①飲食料品(酒類、外食、宅配ケータリング食品は除く)②新聞の2品目である。

1.消費税が導入されてから30年。1989年4月3%、2014年4月8%、2019年10月10%になる。現在、所得税19兆円、消費税18兆円、法人税12兆円であるが、2019年度以降、消費税が最大の税収項目となる。所得税は累進課税、法人税は基本税率で累進課税されているが、消費税は応能負担はなく、一律税率である。この結果、貧しい人々に厳しい税である。現在、生活保護世帯160万世帯、人員210万人、年収200万円(月収16万円)以下のワーキングプアが1130万人、貯蓄ゼロ世帯比率が30%と、生活が苦しい世帯が60%以上になっている。来年は、さらに増加する。また、中小・零細企業の経営が圧迫され、死活問題になってくる。結果、景気を悪くする悪税である。

2.日本経済の長期低迷は1998年のマイナス成長から始まり、その後20年間の実質GDP成長率は0.8%で続いている。アベノミクスは失敗である。消費税率引き上げ、非正規雇用推進、社会保障制度の改悪等の政策により、実質賃金がマイナス0.9%、家計消費支出0.5%と低迷した。

3.日本経済の低迷と厳しい暮らしは更に深刻化する。内外の環境が厳しくなる予想である。①アメリカ、世界経済の低迷が深まる。②国内状況はオリンピック需要が終わり反動減がある。働き方改革による賃金抑制、社会保障制度の減額、消費税増税で、家計支出が落ち込む。日本経済の成長率は1%程度なのに0%割れに落ち込むだろう。世帯を5つにグループわけし、最も所得の少ない層20%(アンダークラス)の前回消費税増税後の行動分析をなぞると、より貧しい家(家賃の安い家)に住み、医療費を抑え、教育費も削って生活することになるだろう。