お金の神様

お金の神様

(お金の神様 中原圭介)

金融コンサルティング会社の代表取締役中原圭介が、2011年週刊現代で「お金の神様」を連載した50回分をまとめた本です。週刊誌掲載まで2週間かかるので、変わらない「儲ける投資と資産を守る方法の考え方」をまとめたものです。

1.儲ける投資

①株式投資の始め 株式投資の入門書を読んだが、損切りを繰り返す。経済学の理論と相場は無関係と思う。1年ほどして、テクニックより、大局観が大事と気付く。相場が見える様になった。人間がやることで、歴史や心理学が重要。ネット証券の登場で手数料が桁違いに安くなった。気楽に損切りできるから、守りに強くなった。昔は株価指数(PER,PBRなど)、テクニカル指標(移動平均線、サイコロジカルラインなど)試したが、役に立たなかった。教科書的理論では勝てません。今は情報が溢れている。しかし、必要な情報は多くない。

②投資だけで生計を立てられるか? 絶対にすすめられません。03年4月~06年3月の3年間で日経平均は2倍になった。相場の世界は、個人の9割は負け組。しかし、この期間は2割だった。一貫して私は反対した。いずれ下降トレンドになる。状況が不透明なら、売買うを休むことが、最大の防御になる。専業投資家になるには、経済の流れを見ての先読み力、予想が外れた時の臨機応変対応力、5年くらい売買しなくても良い資産力が必要なのです。大切なのは、まず、健康、仕事、家族、お金は4番目なのです。

 ③相場の買い場は神様しか知らない 長期株式資産運用は、世界経済が右肩上がりの高成長をすることはない時代になった今、1~3%成長では、利益は出ない。私は、長期運用ではなく、お金・相場のトレンドを重視し、お金の拡大期・後退期に合わせて、買い場・売り場を判断します。株式の長期保有という手法は通用しない時代です。ある時期は株式を買い、ある時期はすべてキャッシュに換える。そういう時代になりました。「相場は相場に聞く」ことが大事です。経済のスピードは、かって無いほど加速している。そんな環境下で、株式を保有していたら、必ず暴落に巻き込まれる。先行き不透明なときは、「休むも相場」となる。焦らずに、底値を確認してから1割反騰を買い、高値を確認してから1割反落を売る「頭と尻尾はくれてやれ」がいい。焦って含み損を抱えるより、反転を確認後、買うのがよい。

④定年後に最適なポートフォリオは、退職金はすべて現預金。配当金が3%程度で回っている優良株式をもっているなら、それも良い。ただ現実問題、年金だけで生活できる人は、ほとんどいないと思われます。私の答えは定年後も働く、できるだけ長く働くです。相場に投入できる余剰資金は2割がせいぜいでしょう。1000万円の借金なしの完全余剰金なら200万円。いずれにせよ、新興株より東証1部の大型株、個別株より指数連動型ETFと、変動率の低い守りの感覚が重要になります。

⑤相場は分析スキルが重要だ 私はつくば市に住み、仕事はつくばで9割、日本橋で1割こなしている。自宅から主たるオフィスまでの通勤時間が10分です。東京にいると、良質な情報が集まる。本当でしょうか?私の情報源は、新聞だけ。足りない分はネットで補う。東京にいなくても、手に入る情報ばかりです。今は情報が溢れている。いかに分析するかが重要である。

⑥投資信託は利益が出ない 06年高値で買った投資信託は、10年は買値に戻らない。新興国投資信託なら一生戻らない。金融機関は3%の販売手数料、年2%の信託報酬が得られるのでおいしい商品です。毎月分配型の投資信託は有名外国ファンドの商品なら、10年持てば損はしないかも知れないが、所得税、住民税が5%もかかり、投資効率が悪い。

2.住宅

公務員、富裕層を除き、一般のサラリーマンは住宅ローンを借りてはいけない。失業しない、給料が下がらないが絶対条件になる。40歳より下の世代はデフレしか知らない。3000万円の住宅ローンを普通に返せる時代は終わったということです。人口減少の影響で空き家が増えています。定年後に棲む家は、その頃買えばいいのです。

3.保険

貯蓄型養老・終身保険は入っちゃいけない商品です。30年後にその会社が存続している保証がない。貯蓄が目的なら、銀行口座にいれておくほうがよい。1000万円まで保護される。死亡保険は、その人がメインの稼ぎ手、未成年の子供がいる場合は、掛け捨て生命保険にはいる。国民健康保険もかける。