グローバリズムの終焉とブロック経済化
(アメリカの大転換で分裂する世界 三橋貴明、
新しい富の作り方 菅下清広、 世界と日本の未来 中原圭介 井沢元彦)
「人物金の国境を越えた移動の自由化」というグローバリズムは、各国の所得や資産の格差が耐え難いほど拡大し、民主主義国で選挙により、否定された。歴史的潮流の変化である。2016年6月イギリスは投票により、グローバリズムのEUから離脱を決めた。12月には困窮化したアメリカ労働者に、反グローバル化を訴えたトランプが大統領に選出された。世界は反グローバル化に向かって動き出した。
グローバル化とは何か。2000年中国のWTO加盟で、世界は真のグローバル化に向かった。1990年ベルリンの壁崩壊により、東欧の安い労働力がはいってきたが、少数で問題にならなかったが、中国では13億人の安い労働力が入ってきたのだ。生活必需品(食料、電気代、ガソリンなど)の価格が上昇する一方、各国の労働所得はバブル崩壊の影響もあり下がった。アメリカでは3分の1が貧困層である。3億人の人口の1億人が生活に困っている。小さな政府を目指したので、更に格差拡大、中間層が疲弊して、国家が衰退してきた。
トランプ大統領は2018年7月より、中国の知的財産権の侵害に対抗するため、ハイテク製品に25%の関税(5兆円)をかける。「米中間の貿易は不公平で、もはや持続不可能」と表明した。2017年米国の対中赤字は41兆円。中国は管理フロート制で為替レートをコントロールし、自国に有利な取引を続けている。だから、中国は、これほど儲かっている。各国は人民元の完全フロート制を迫っているが、受付けない。さらに尖閣諸島、南シナ海領有権主張などで、領土変更の意向まで見せ始めた。とりあず、米中間の貿易戦争状態になった。自由民主資本主義(イギリス、アメリカなど)と国家資本主義(中国、ロシアなど)の対立がはっきりしてきた。国家資本主義国による領土と資源の囲い込みが、このまま行われると、それは保護主義とブロック経済化の流れが強まる。