グローバル資本主義で日本は貧しくなった

グローバル資本主義で日本は貧しくなった

(貧乏はお金持ち 橘玲 2009年6月)

久しぶりに、橘玲の10年前の本を読んだ。橘玲は素晴らしい。10年前の状況認識がシビアで正確であり、現在の日本の貧困状況を物語っている、

「みんなが好きな仕事につけて、毎年給料が上がっていって、会社は一生社員の面倒を見てくれて、病気になれば国が下の世話までしてくれる」グローバル資本主義時代で、そんな都合のいい話はあるわけないと、誰だって知っている。需要が限られているのに、すべての労働者を正社員にすることなどできるはずがない。そんなことしたって、会社がつぶれてしまえば、すべてが無くなってしまうのだ。こうなると、人生にとって一番大事なことは、自分の手でお金を稼ぐことだ。

私たちは資本主義と市場経済の中で生きてゆくしかない。この経済世界で、私たちがお金を獲得する方法は、「(人的、金融)資本を、市場に投資し、リスクを取ってリターンを得る」しかない。方法は、①雇われる=サラリーマン=自らの専門分野に特化した人達②法人になり、自らエンタープライズ=事業をして、企業家になる=専門分野+事業選択・会計・税務・ファイナンスをするの2つである。人的資本を最大化する方策は、法人になり、国家を利用して富を生み出すことである。ただし、成功率は高くないが。

法人をつくれば、ひとはビンボーになる。そして、それがお金持ちへの第1歩だ。そのうえ、雇われない生き方をすれば、クビになることもない。ひとは生き延びるためなら、法の許す範囲でどんなことをしてもいい。これが、自由な社会の根源的なルールだ。この理不尽な世界を生き抜こうとしたら、法人の思想と技術が役立つにちがいない。

あれから10年、この世の中は、ますます生きづらくなっている。

①階級社会化 資本家、中間層、労働者の階級で、労働者階級4000万人が月収20万クラスと非正規雇用のアンダークラス月収10万円クラス=1000万人貧困率40%、男性の未婚率70%になった。増え続ける派遣・パートでワーキングフアの激増で配偶者も住宅も、持てない。老人が単身化、家なし+低年金で老後破綻の状態になる、大学生のブラックバイト、奨学金返済の滞り、公務員も3分の1が非正規職員化で70万人月収15万円程度、貧困層は半分が将来に不安を抱え、3割がうつ病状態である。

②グローバル経済で、基礎賃金が半分になった。公共事業の積算の労賃が3万円から1.5万円に、賃金が上がらず、少子高齢化、非正規雇用の低賃金、エンゲル係数25%、高齢者が30%、外国人労働者250万人、20年間で100万人増えている。農業・漁業・製造業など大手資本が買い取り大規模化し、中国人の研修生などの労働力活用で競争力アップを図っている。

③年金、介護、健康保険などの社会保険料が上がりつつあり、リターンは減りつつある。

④生活保護の激増で、国は対象の絞り込み、保護費の減少を図っている。家族福祉が基本になっている。

⑤老人単身者、女性など社会的弱者が、家族の援助がないと暮らしていけなくなっている。