「こころのクリニック」の必要性増大する
(日本の階級社会 橋本健二)
日本で「こころのクリニック」が増えている。その訳は、日本に新しく貧困階級が出来たからだ。しかも、いまでも、増え続けている。相対的貧困ライン(所得が国民平均の半分<年収122万円・月収10.1万円>に満たない)を下回る人が、2015年で、6人に1人(貧困率16%)、2000万人もいる。老後破綻が多い。生活保護世帯の160万世帯中、高齢者世帯は半数の80万世帯。日本の生活保護基準は、欧米と違い「まず親族が助けよ」という家族任せ主義である。1人暮らしの高齢者は600万人いるが、半数の300万人は生活保護水準以下である。75歳を過ぎると働くところがなくなる。75歳以降は、貯金と年金で食べるしかないのだ。それで、老後破綻する。母子家庭の貧困率は2人に1人以上(55%)である。しかも貧困状態にある家庭の子供は精神的落ち込みが厳しい。また、非正規労働者(1000万人、人口の15%)の年収は、180万円で貧困率は40%であり、男性の未婚率70%、女性の未婚率60%である。日本は人口の3割が主に経済的理由から家庭を形成できない社会になった。非正規貧困層は、単純労働で昇進の見込みはなく、退職金も受け取れない。老後の生活見通しも暗く、健康状態も悪い。とくに精神的な健康状態に問題があり、うつ病などこころの病気をかかえる人が多い。うつ病など、こころの病気の診断を受けた人は、5人に1人(20%)、将来に不安を感じる人は、2人に1人(50%)の状態である。2000年(21世紀)に入ってから、貧困階級が増え、精神的悩み・病が増えた結果、20世紀と異なり、「こころのクリニック」のニーズ・必要性が増大したのだ。