陽だまり
(老いてこそ人生 石原慎太郎)
陽だまりのチェアに腰掛けて、うつらうつらしながら、太陽の暖かさを味わっている年老いた男、それは人生を過ごしてきた老人の象徴のような光景である。
1.オールド・ブラック・ジョー
アメリカ・フォスターの曲。生涯を南部のプランテーションで働き続けた黒人奴隷が、この世を去ろうとする際の諦観の思いを歌った歌。オールド・ブラック・ジョーが陽だまりでイスにすわっている姿が目に映ります。
2.ゴッド・ファーザー
ゴッド・ファーザー、ドン・ヴィトー・コルシオーネ(マーロン・ブランド)が、老衰で死ぬ前、陽だまりのチェアで、うつらうつらしながら、孫を見ていた場面を思い出します。マフィアとして、幸せな死を表していました。
3.石原慎太郎の見た五島昇のロッキング・チェア
石原慎太郎は東急グループ総帥の五島昇に目をかけられいて、日生劇場やゴルフ場スリーハンドレッドクラブを企画し実現した。五島昇は万能のスポーツマンであった。その五島昇が年老いてきて、スリーハンドレッドクラブでハーフを回った後、テラスの一隅や暖炉の側のロッキングチェアで、毛布に包まれ午睡をとっていました。以前からの氏を知る者には、あのアポロもついに老いたのだなあと感慨ひとしおでありました。ああして陽だまりにロッキングチェアを据えてうつらうつらしながら、五島さんが何を考えていたのか。五島昇というダンディは、老いてかつ病みながらも瀟洒なものだった。あれも男の晩年の1つの理想の姿かも知れない。
以上、老人の平穏な姿の象徴として、陽だまりに暖まり、ささやかな幸せを得ている姿があります。