お肉事典

お肉事典

(食肉の基本 西村俊英)

日本人の食生活は、戦後大きく変化し、肉を食べることが多くなった。食肉の知識を得る。

1.食肉

食肉として利用されるのは、動物の筋肉である。日本国内の1人あたり年間消費量は、30Kg、内訳は豚肉12Kg(40%)、鶏肉11Kg((40%弱)、牛肉(20%)、その他<羊肉、鴨肉>(0.2%)である。

食肉の成分は、水分7割、タンパク質2割、脂肪1割、炭水化物ゼロである。又、必須アミノ酸が豊富に含まれている。食肉は、カタ(肩)、ロース(背中肉)、バラ(あばら骨下)、モモの4分割に大別される。

カタは運動量が多いので、かたい。煮込みがベスト。ロースは背肉で運動量が少なくやわらかく、味もいい。バラ(アバラ骨周辺の腹部の肉、韓国語でカルビという)は呼吸をする筋肉で、やや固めで脂肪多い。味は濃厚なので、薄切りし焼き肉や煮込みに使う。モモ(後ろ足のモモの筋肉)は、最も運動する筋肉で、かたい赤身肉で、味はコクがあり良く、脂肪は少ない。炒め物、煮込みによい。その他副産物として、タン、ほほ肉、内臓(ハツ<心臓>、レバー、胃など)がある。焼肉、焼き鳥などにする。

ひき肉は、牛、豚、鶏、合びきとある。ハムは豚肉の保存方法として、ヨーロッパで開発された。塩漬けし、燻製し、加熱して作られる。ボンレスハムはもも肉、ロースハムは背肉を使っている。プレスハムは羊肉、馬肉なども混ぜている。生ハムは、長期間塩漬けし発酵させ、低温で薫煙されたもの。ベーコンはバラ肉を塩漬けし、燻製したもの。ソーセージは、ひき肉にして、脂肪や香辛料、調味料を加えて、腸詰にして、燻製し加熱処理にしたもの。サラミは長期保存を目的として、低温乾燥,熟成したもの。チャーシューは、肩やバラ肉を、しょうゆ・酒で焼くか煮込んだもの。ローストビーフは牛肉の塊をオーブンで蒸し焼きにし、スライスして食べるもの。

2.肉の栄養

日本人の寿命が戦後延長したのは、食肉、牛乳、乳製品など動物性食品の摂取量増加があげられる。体格も、1900年男身長160cm弱、女150cm弱が2012年には男170cm、女160cm弱に向上している。動物性タンパク質の摂取量増加が一因であろう。タンパク質は人間の体の約2割を占め、常に入れ替えをしている。肝臓なら2週間、筋肉では半年で、半分が入れ替わる。健康な体を維持するには、良質なタンパク質の摂取が重要である。高齢者も、積極的に食肉を取ったほうがよい。食肉は、タンパク質や脂肪、ビタミン類を取る長寿食である。

牛肉の栄養 ①肉の色が赤いのは、血を作る働きが強いしるしである。②脂肪の分解を促すカルニチンが多い。

豚肉の栄養 ①ビタミンB1はうなぎより多い②ビタミンB2、E、ナイアシン、ペプチド(肝臓、コレステロールによい)が多い。

鶏肉の栄養 ①高タンパクで低カロリー、必須アミノ酸が多い②ビタミンAも多い。

3.外食産業の仕入れ食肉原産国比率

①牛肉 国産43%、オーストラリア45% ②豚肉 国産55%、アメリカ11%、カナダ9%、デンマーク9%

③鶏肉 国産55%、ブラジル35%