歌舞伎をYouTubeで見る

歌舞伎をYouTubeで見る

(面白いほどよくわかる歌舞伎 宗方翔)

歌舞伎は江戸時代初め、京都で阿国が歌舞伎踊りを始め、江戸でもブームを起こした。元禄時代に上方では、坂田藤十郎が情愛もの、江戸では市川団十郎が荒事の歌舞伎演劇が人気になった。歌舞伎は有名役者が代々受け継ぐ大名跡で維持されている。①市川団十郎②松本幸四郎③澤村宗十郎③坂東彦三郎④尾上菊五郎⑤中村歌右衛門(上方)⑥片岡仁左衛門(上方)などがある。

歌舞伎はセリフは古めかしく、発音も独特で、スムーズに聞き取れない。劇場に行ったら、イヤホンガイドを借りて、手助けしてもらうのがよい。ニューヨークや北京で演劇を観る時、日本語イヤホンを借りるのと同じである。YouTubeでイヤホンがない場合、下記の演目別あらすじを知っていれば、ある程度楽しめる。

代表的演目

1.上方でヒットした人形浄瑠璃が江戸に伝えられた3大名作(義太夫節で流行)

①菅原伝授手習い鑑(1746年) 管丞相の身にふりかかる危難とそれを救う霊験談。

②義経千本桜(1747年) 時代を組み替えて(狂言)、源義経を滅ぼそうとする、船宿主の平知盛の滅びを描く。

③仮名手本忠臣蔵(1748年) 時代を組み替えて(狂言)、足利尊氏の執事高師直と塩冶判官・家老の大星由良之助の物語

2.歌舞伎18番 上演回数が多いのは、「助六」、「勧進帳」、「暫(しばらく)」、この3番は団十郎が作った。「矢の根」、「外郎売り」(この2番は助六と同じ曾我物の演目)、「毛抜」、「鳴神」(この2番は雷神不動北山桜から独立)これ以外は、廃れた。

④助六 吉原の花魁・揚巻と助六(曾我五郎)が意休を切り、名刀を取り返す

⑤勧進帳 義経と弁慶が安宅関を機転で通行する

⑥暫 悪人・清原武衡は善人を切ろうとするが、鎌倉権五郎が切って救う

⑦矢の根 正月の風物やおめでたい台詞(せりふ)満載

⑧外郎(ういろう)売 外郎(薬)売の曾我五郎は、滑舌を披露して、敵を狙う

⑨毛抜 粂(くめ)寺弾正は小野家の乗っ取りを狙う家老・八剣玄蕃から、小野家を救う

⑩鳴神(なるがみ) 雨を降らせない鳴神上人は絶間姫の色香に迷い神通力を失う

4.霊異記物

⑪葛の葉狐(1734年) 安倍保名は信田の森で白狐を助ける。恩返しに葛の葉という女性に化けて結婚し、子供もできる。うそがばれて、障子に歌を書き、去る。

⑫金閣寺(祇園祭礼信仰記)(1757年) 雪舟の孫、雪姫は縛られたが、桜の花びらで鼠を描くと、魂が宿り、鼠が縄を食いちぎる。

⑬天竺徳兵衛(1805年) 異国帰りの船頭が、蝦蟇(がま)の妖術で早代わり

5.情愛物

⑭切られ与三郎(1853年) 与三郎とお富は良い仲になったが、切られて、ばらばらに別れた。最後は夫婦になる

6.無頼物

⑮白浪(泥棒)五人男(1862年) 呉服商をゆすっていた五人男は、ついに最後を遂げる。

7.霊験舞踊

⑰娘道成寺(1753年) 清姫が若い僧・安珍に恋をして、蛇の精になり、梵鐘の中の安珍を殺す

⑱藤娘(1826年) 琵琶湖の大津絵にある藤娘の精が、舞台一杯踊る

8.新歌舞伎

⑲一本刀土俵入り(1931年) 破門になった力士に、恩情をかける酌婦。十年たって立場が逆転、恩返しの物語