中国最高指導者 習近平
(十三億の一の男 峯村 健司)
中国共産党は独裁制であり、人治の政治体制である。民主主義ではなく、最後は最高指導者が1人で決める。1949年中華人民共和国ができた。それ以来、最高指導者は下記のような5人いる。この中で党、軍、政府の三権を握ったのは、毛沢東と習近平の2人である。鄧小平は三権の長ではなかった。江沢民は鄧小平が院政を敷き、胡錦濤は江沢民が院政を敷いた。習近平は、胡錦濤と江沢民の争い(賄賂腐敗撲滅運動、江沢民派、胡錦濤派両者ともキーマンが逮捕)により、両者が抱きつき心中で完全引退し、総書記(国家主席)に就任した時から、三権を得ることができた。毛沢東以来の実権を得たのだ。今年2017年10月18日は、5年に一度の党大会がやってくる。指導部の人事は、習近平の思い通りに進むだろう。
中国共産党の序列は総書記1人(習近平)、常務委員7人(李克強首相の力は常務委員の1人に過ぎない。習近平は重要事項は1人で決めている)、政治局員180人、共産党員8600人である。今月9月に共産主義青年団のトップ、秦宜智第一書記を品質検査局に左遷した。登竜門の共青団を叩き、紅二代(革命幹部の子供達3000人)グループに支えられ、習近平派閥の強化を図っている。現在の常務委員(68歳定年)は習近平、李克強を除く5人が引退する。常務委員入りが予測されるのは、習近平派閥である。
習近平体制のリスクは、習近平1人に権力が集中するので、万一の代理がいないことである。2020年以降、国内生産が鈍化する中で、貧富の格差(上位1%が国富の33%、下位25%が国富の1%を持つ)が不満になり、民衆の反発が起きる可能性がある。習近平は、性悪説の荀子の法治を重視しているが、経済の低成長化が悩みになると考えられる。
歴代最高指導者
1.毛沢東 統治:1949年ー1976年 首相:周恩来、華国鋒 完全独裁であった。死後2年間は華国鋒が主席を勤めた
2.鄧小平 統治:1978年ー1989年 首相:李先念、趙紫陽、楊尚昆、李鵬 改革開放政策推進。1989年天安門事件で江沢民を総書記にした。1997年最後の病院で幹部を集め、胡錦濤を江沢民の後任に遺言指名した。日本の資本、技術を導入した。
3.江沢民 統治:1982年ー2002年 首相:楊尚昆、李鵬、朱鎔基 胡錦濤の就任にあたり、軍事委員会主席に留任し、院政を敷いた。常務委員に江沢民派を配して、賄賂腐敗が進んだ。日本に対しては、反日、歴史教育で叩いた。
4.胡錦濤 統治:2002年ー2012年 首相:温家宝 江沢民の院政で苦しんだ。習近平に党・政府の全権を譲り、江沢民派の薄熙来、周永康、徐才厚の腐敗を追及失脚させた。しかし、自派の要、令計画も加担していることが判明し、江沢民と一緒に完全引退した。親日派であった。共青団トップだった。
対中円借款(ODA)の最後の支払いが2017年9月終了した。改革・開放政策の支援を目的に、インフラ整備等、1979年から30年強、365件強、3兆円強実施された。胡錦濤主席は「中国の近代化建設を促進した。中国人民は永遠に銘記してゆく」と評価した。
5.習近平 統治:2012年ー(2017年に2期目) 首相:李克強(共青団トップだった) 党、軍、政府の三権を完全把握した。腐敗撲滅運動を進め、民衆の支持受けた。中国の夢を語ったが、「習近平思想」を重大理論に盛り込む方針を固めている。