金持ちで豊かな国(人)になる方法
(グローバル・エコノミー・ヒストリー オックスフォード大 アレン教授)
1.金持ち・豊かになる4要素
①高い生産性のある良品廉価な商品の製造・販売
②製造技術への資本投下
③大きな市場の確保
④教育への投資
2.生産性技術革新により、富国と貧国の格差が生じる
衣食住移動に関するモノは、世界中で作られてきた。自由貿易と各国(人)の技術革新により格差が生じる。
3.グローバル・エコノミック・ヒストリー
①1750年、世界の製造業生産シェア 中国33%、インド25%、イギリス10%。中国インドで60%。
②1913年、産業革命により、シェアはイギリス15%、アメリカ30%、ヨーロッパ30%に(欧米で75%)、中国4%、インド1%に、中国・インドの製造業は破滅的に衰退した。
③1950年、アメリカ45%、ヨーロッパ15%、イギリス10%(欧米で70%)、ソ連10%
④2006年、アメリカ25%、ヨーロッパ20%、中国10%、東アジア(日、韓国、台湾等)20%
4.日本はいかに欧米にキャッチアップしたか
戦前:日本と西洋の格差は2世代(60年相当)あった。1940年までに大分追いついた。
①1870年明治維新・廃藩置県で国内市場の統合、1915年不平等条約改正で関税自主権確保。
②1900年小学校授業料無料化、1915年通学率90%に
③政府が官営工場、特定企業に補助金投入し、工場・技術に投資
④1915年、銀行制度が成熟し、資金貸与・投資が出来るようになった
戦後:先進国の成長率は2%。日本が2世代分(60年)キャッチアップするには、年6%成長しなければならなかった。日本は1950年から1990年まで40年間、6%成長し、西洋の生活水準に追いついた。(1953年から1973年は8%成長。)
①第2次大戦後、日本は戦前の工業水準を取り戻すべく、通産省が主導して、需要に先駆けて、重化学工業の最新技術・資本集約的技術・大規模生産に集中投資・傾斜生産した。最新・大規模な生産は、他国の効率を上回わり価格競争力をつけた。競争的な価格をつけながら、高賃金を払うことができた。(韓国・台湾・中国も追従した)
②日本の企業内組合、年功賃金、終身雇用制度は、所得上昇をもたらし、耐久消費財が買える購買層を作り出した。国内市場も大きくなった。
③大規模な技術革新投資には、大規模な販売市場が必要だが、アメリカ向け輸出で獲得した。(アメリカは戦後、自由貿易化を選択した。しかし、かっての重工業地帯・ラストベルト地帯は没落した。)
④この結果、1990年までに、西洋との格差(労働者1人あたりの資本、教育費、生産性)が縮小した。
現代=1990年以降の低成長時代:キャッチアップ後は、世界の技術フロンチアスピード(年1~2%成長)しか成長できなくなってきた。グローバル・エコノミーにおける立ち位置が、根本的に変わったのである。明治・帝国主義時代のような、自国に合った独創的な技術開発政策を採る時代になった。