人類20万年の人口変遷史 (大塚柳太郎)
(1)20万年前 ヒト化 5000人
1.現存の人間は、ホモ・サピエンス(賢いヒト)という単一の生物種です。ヒトは、共通するただ1つの祖先DNAにたどりつけます。20万年前の5000人程度の集団からスタートしました。
2.ヒトの特徴は、直立二足歩行と大型脳です。ヒトの赤ん坊は脳が大きく、出産するために、未熟児で生れます。サバンナでの生活に適応するため、二足歩行、体毛減らし、植物中心の雑食性になりました。
3.ヒトは最後の1万年を除き、狩猟採集生活で生きてきました。野性動植物だけを摂取しながら、自然界の1員として生きてきたのです。石器と土器いう道具と火と水さらし毒抜き技術で、肉とデンプンを食料にしました。
(2)7万年前 移住 50万人 (100倍)
移住 集団のテリトリー内の動植物が少なくなれば、一部が移動しました。移動ルートは
①出アフリカ 20万年の間で温暖であったのは、13万年前の1万年と最新の1万年しかありません。その間に人類は出アフリカをしました。13万年前以降は寒冷地化(氷河期)して、アラビア半島からメソポタミアに向かった集団のみが存続しました。②そして、7万年前にメソポタミアから南アジアへ移動しました。ヨーロッパ方面には5万年前、東北アジア方面には4万年前、アメリカへは1.5万年前ころ移動しました。人類は地球の主な場所にテリトリーを持つようになりました。
(3)1万2000年前 定住と農耕 500万人(10倍)
①定住した狩猟採集民 定住が始まった1万2000年前頃から温暖化が進み、野生動植物が豊富になりました。竪穴住居を作る技術革新があり、平地での集団生活が可能になりました。
②野生植物の栽培化と野生動物の家畜化 この時期、磨製石器に移行し、新石器時代になった。
③農耕起源地 西アジア=ムギ農耕、中国=水田農耕、東南アジア=根菜(イモ、ババナ)農耕、メソアメリカ=トウモロコシ農耕、アンデス=ジャガイモ農耕
④家畜飼育 イヌ=ユーラシア、ネコ=北アフリカ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ=メソポタミア、ブタ、ニワトリ=中国、東南アジア、ウマ=中央アジア 搾乳と耕作と移動に使用
⑤高地へ=身体を適応(アンデス民=ヘモグロビン濃度高、チベット民=血流量増大)、乾燥地へ=家畜とともにサハラ=ヤギ、ヒツジ、ウシ、東アフリカ=ラクダ、チベット=ヤク、南太平洋へ=5000年前カヌー、根菜農耕、ブタ・ニワトリ、漁猟
(4)5000年前 文明化 1000万人(2倍)
①古代文明 メソポタミア、エジプト、インダス、中国、アンデス、メソアメリカ
②都市の出現と人口の集中 5000年前は人口1万人以上の都市はメソポタミアとエジプトのみ。農耕なしの旧石器時代は男寿命30歳、4000年前からローマ時代は男40歳。
③ギリシア、ローマ文明は奴隷という社会の階層を生んだ。総人口の2割。農奴の起源。
④感染症の流行 細菌、ウイルスなどの病気。結核、マラリア、天然痘など。
⑤中世の人口増加 鉄の道具が農民に普及、農耕技術進歩、三浦式農業、品種改良。
⑥AD1500年 アメリカ大陸発見、サトウキビと綿花のプランテーションと奴隷貿易。
⑦1400年(4億人、40倍)から1800年10億人(2.5倍)に増加。トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモが世界に伝播した。
(5)1750年(7億人)から1950年(25億人・3.5倍) 産業革命と新大陸による人口増加
①1750年イギリスで産業革命起きる。機械工業生産、石炭への動力源移動、1850年移行終了。他国の産業革命開始はフランス、ベルギーが1830年、ドイツ1850年、アメリカ、ロシアは1890年でした。
②人口フェーズの転換 1)多産多死社会2)多産少死社会(食料増加、医療改善で死亡率低下)3)少産少死社会(出生率低下、人口減少)というサイクルがあり、多産少死社会で人口が増えます。
(6)現代 世界人口は第2次大戦後の1950年に25億人、2000年は60億人(2.5倍)でした。この50年間の増加は32億人/35億人中が途上国による増加でした。原因は国連の緑の革命=イネ・コムギ・トウモロコシの高収量品種の開発と医療・衛生の向上による死亡率の低下でした。
2015年人口は70億人でした。地球の人口支持力は120億人という試算もあります。2100年には世界人口は100億人を超えているでしょう。ただし、途上国の人口フェーズが高齢化により、人口増加が減速すると思われます。