人口ボーナス人口オーナス
(中国私論 橘玲から)
生産年齢人口が経済成長に大きな影響を与えるという人口経済学理論がある。生産年齢人口(15歳~65歳)が非生産年齢人口の何倍あるかで、経済成長やバブルの時機が分かるというものだ。経済成長は衣食住の充実、情報・技術の革新によって進展する。情報・技術は難しいが、衣食住の充実は比較的簡単だ。人口が増えると、需要が増大する。生産年齢の非生産年齢人口比は1倍、1.5倍、2倍、2.5倍とある。国によって、生産年齢人口比がピークに達する時機が違う。ピークに達すると下降の時機に入り、それと同時に経済成長も低成長デフレになる。また、不動産価格も減少に向かう。
日本は1990年に生産年齢人口比が2.3倍くらいでピークアウトした。1995年に生産年齢人口がピークに達した。そして、長い低成長デフレの時代に入った。アメリカは2008年生産年齢人口比2.0倍でピ-クアウトした。スペイン、アイルランドなどEUも2008年2.2倍でピークだった。アジア諸国は、朝鮮戦争や大躍進政策の失敗などでベビーブームが日本より遅れた。韓国・台湾・香港・シンガポールは20年遅れで、ピークが2010年だった。中国は文化革命後ベビーブームが始まり、2015年2.7倍でピークに達し、ほぼ同時に生産年齢人口も10億人でピークに達した。2020年頃から、総人口が減少に転じて、バブルが崩壊する恐れがある。中国は農村・都市の格差、年金・医療保険未整備の社会矛盾があり、13億人の巨大な社会は大混乱になる可能性がある。