インテリジェンス(諜報)の世界史
(インテリジェンスの世界史 小谷 賢より)
通信傍受と暗号解読は、第1次世界大戦に始まり、第2次大戦に英米間で協定を作り、冷戦時代に、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加わり、ファイブ・アイズができた。冷戦終結後は、テロとの戦いの方向になっている。
古くから、手紙・書類は情報収集の対象であった。そして、第3者に盗み読みされないように、暗号が生み出された。古代ギリシアの暗号やローマのシーザー暗号などがあった。しかし、時間と労力をかければ、暗号は必ず解けるもので、暗号を解く側に分があった。こうして暗号解読組織ができた。1506年ベネチアは初の暗号解読官を作った。イギリスはエリザベス女王時代に組織を作り、女王暗殺を防いだ。フランスも1590年暗号解読組織を作った。
情報伝達は、電報がができて、1866年には欧米間で通信ができた。日本も1905年日本海軍は海底ケーブルを利用した。1899年無線通信が開発され、各国が採用した第1次大戦には、イギリス暗号解読機関が、ドイツがメキシコに対米参戦したら、アメリカ領土割譲を約束したのを解読し、アメリカの対独参戦を実現し、大戦の勝利を決定した。
アメリカは1930年陸軍に通信情報部を作った。1940年、日本の暗号解読に成功した。外交戦略に重大な役割を果たした。
イギリスは1939年日独伊三国接近を解読し、日中戦争への方針を決定した。イギリスはドイツ暗号解読に注力し、日本暗号は解読できなかった。1942年米英は日独の暗号解読について、情報共有する協定を結んだ。そして、第2次大戦終了後、1946年ソ連に向けた体制に変化した。1956年カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが参加した現在のファイブ・アイズができた。
1990年冷戦の終結した90年代、情報機関は予算と人員の削減の逆風が吹いた。2001年アメリカの9・11テロによって、テロ情報収集強化した。これを受けて、通信傍受活動だけではなく、無差別にネット情報を収集しだした。安全保障の確立と個人のプライバシーの保護という問題が出てきた。
2013年、スノーデンがアメリカ国家安全保障庁(NSA)、イギリス政府通信本部(GCHQ)を内部告発した。世界中のメールと通信データを収集して、電話、インターネットを監視していると暴露した。一般人のもので個人のプライバシー問題になった。
インテリジェンス(諜報)ついては、当然、日本は、世界中の国から、ターゲットにされており、日本の情報を守る対策を練っておかねばならない。