政治ー1 政治思想

政治-1 政治思想

(バカが多いには理由がある  橘 玲から)

バカとは、昼間からテレビを見ている、暇な1000万人単位の大衆をいう。テレビ局は、バカに暇つぶしをさせるため、アイドルを使って、面白おかしく娯楽を提供する。批判されたら、アナウンサーに謝らせれば済むからです。嫌韓・反中の記事があふれるのは、正しいと思っているからではなく、売れるからです。

バカはファースト(早い直感、本能的な、負荷の少ない)思考しか出来ない人です。スロー(遅い、功利的論理的な、負荷の多い不快な)思考は、難しく、本能に不快なため、速い思考しかできない人は、遅い思考を不快なものとしてこの世から抹殺しようとするのです。

速い思考(直感)は、人間が厳しい環境に適応するため、進化してきた過程で身に着けた本能で、それで生き残ってきました。問題は複雑な問題を、直感で解こうとすることです。

次に正義とは何か? 正義とは進化の過程で、直感的に正しいと感じるようになったものです。チンパンジーの実験で分かります。①エサを得たとき、「先取権利」がある。ボスザルでも分け前をねだる②エサが他と違うとき、怒る。「平等権利」がある。③チンパンジーの間にも、さまざまな要因で、序列ができる。「共同体」ができる。④また、群れの中で生きるため、「ギブアンドテイク貢献権利」があります。チンパンジーの世界にも、社会(群れ)を維持する原理原則があります。それが「所有権」「平等」「組織の序列、共同体」です。これはフランス革命の「自由」「平等」「友愛」に対応します。

近代社会は、民主政治を前提に成り立っています。独裁政治や神政政治には、自由も平等もないからです。

政治的立場ができる  正義感情から①自由主義=リベラル・リバリタリアン②平等主義=デモクラット③共同体主義=コンサバティブ、保守ができました。その後、リベラルが、経済格差を悪として、①結果の平等(大きな政府)②機会の平等(小さな政府)の2つに分かれました。

第4の政治思想=功利主義(ネオリベ)  18世紀末、イギリスのベンサムが、「行為・制度の望ましさは、それがもたらす効用によって決まる」と唱えました。功利主義は経済学と相性がよく、「新自由主義=ネオリベ」と呼ばれます。直感では正しいと判断できません。

政治思想の問題点は、3つの理想を同時に実現できないことです。

民主政治では選挙で多くの票を獲得した候補者が当選します。結局、有権者の平均的政治立場に近づきます。結果、どの政党も違いはほとんどありません。現在は中道右派(自由主義+功利主義+共同体・保守主義)は安倍政権、中道左派(自由主義+功利主義+平等主義)は民主党になっています。そして、国会議員の大半が、功利主義=ネオリベになりました。財政状況から選択肢がないのです。

第2次世界大戦で、アウシュビッツとヒロシマを経験し、国家の目的は、「領土の拡大」から、「国民幸福の最大化」に変わりました。最も効果的なのは、お金を配ることです。どの国も国債を刷って、お金を作り、国民に分配するようになりました。

正義は同時実現不可の多重構造であることを理解する必要があるでしょう。