福沢諭吉の「脱亜論」と現代の政治状況

福沢諭吉の「脱亜論」と現代の政治状況

福沢諭吉は、最初は勝海舟とおなじく、朝鮮、中国の自主的近代化を待って同盟し、三国で欧米列強と対抗する理想を持ち、亡命朝鮮人の支援を行った。

しかし、金玉均の庚申政変が失敗すると、閔妃(びんひ)を頂点とする朝鮮王朝の守旧派(右派)および支援した清国は、もはや自力で近代化することは不可能だと見切った。

1885年(明治18年)、福沢諭吉は「脱亜論」を発表した。日本が欧米各国に開国をうながされて変革したように、欧米植民地主義に対抗するため、日本が朝鮮、中国を武力で覚醒させる「脱亜のススメ」である。原因は他文明の良さを、まったく理解せず、排斥する朱子学の思考である。

今日でさえ、朝鮮、中国(中華思想に反発する者は、支那という)の頑迷固陋ぶりには、辟易する。

(逆説の日本史 井沢元彦より)

政治には、右派、中道派、左派の3つがある。現在、中国は中華思想・膨張主義の右派、韓国は中国・北朝鮮に目を向けた左派が、国内・国際政治を混乱させている。中道の柔軟さがない。

 現在の日本の政治状況はどういう状況であるのか、(偽りの保守・安倍晋三の正体 岸井成格=毎日新聞出身、佐高信=評論家)より、以下に記す。

岸井 中国の日本観 文革の失敗からよみがえって、周恩来・鄧小平路線でずっと来た。その基本は、日中が経済協力しながら、ともにアジアで発展する路線だった。日本側には贖罪意識があって、無償で技術協力したり、中国側もそれを分かっていて、ここまで来た。でも、今、自信をつけてきた中国の右派は、「もう日本は要らない。恩を売られるのはたくさんだ。」と、反日になった。日本の対アジア進出ー植民地支配と戦後処理、領土や賠償も含めて、屈辱感が絶対に消えない。歴史認識問題とはそういうことだ。やられたほうは覚えている。尖閣の領有権を決めたのは、1895年(台湾を植民地化した年)。竹島は1905年(日露戦争講和の年)。朝鮮併合が1910年。中国右派、韓国は、帝国主義、植民地主義に逆回帰した。戦後の日台条約、日韓基本条約を否定する。アメリカ中心のサンフランシスコ講和体制を否定する。今の日本は昭和初期に似ている。右傾化、政党政治の不信感。政治不信の果てに、大衆的な反中感情がかきたてられて、そこから、謀略で戦争にもっていかれた。このままいくと、中国・韓国の海洋戦略はさらに強気になる。いまこそ、保守の知恵が必要とされる。

岸井 アメリカの対日政策の変化 今、アジア太平洋国家の機軸は米・ロ・中である。そこに、日本、台頭著しいASEAN,インドがどうからむかという状況だ。尖閣について、アメリカは、戦争になれば、安保条約の対象にする、しかし、領有権、領土問題については、中立という立場だ。

岸井 戦後の政治の流れ 自民党の保守本流は吉田自由党。吉田は安保条約で、戦後の戦争なしの経済世界2位の地位を築いた。吉田茂ー池田勇人―佐藤栄作の時代。池田ー大平ー宮沢ー加藤。佐藤ー田中ー竹下ー橋本ー小渕。宏池会(池田系)は保守リベラル、清和会(福田系)はタカ派、経世会(佐藤、田中系)は実利主義で中道だった。小渕の後は、清和会の森喜朗ー小泉純一郎ー安倍晋三ー福田康夫(ここまで清和会)ー麻生太郎(宏池会)ー(民主党3代)-第2次安倍内閣と続く。清和会の中でも、福田赳夫と安倍晋太郎はハト派だった。一方、福田に近いところで、石原慎太郎が1973年、極端なタカ派集団の青嵐会(石原慎太郎、森喜朗、浜田幸一、山崎拓、渡辺美智雄、中川一郎)をつくった。キワモノ扱いだった。それが、いまや主流になった。経世会は1993年小沢一郎が飛び出し、細川政権を作って、保守本流が分裂した。55年体制と保守・革新座標軸がなくなった。そして、いまや、保守はタカ派に乗っ取られてしまった。

安倍晋三 父親安倍晋太郎と岸信介の娘洋子の次男。祖父の安倍寛が翼賛選挙で東条英機を批判して当選した。安倍家の流れは平和主義の方で、岸信介の右翼的な国家主義ではない。しかし、安倍内閣は「戦後レジームからの脱却」=戦時体制作りの国家統制を目指している。①憲法改正②教育改革③言論統制強化して、戦前型の支配と排除のレジーム(政治体制)を作ろうとしている。。

<田原総一郎> 戦後の日本は、吉田路線で平和国家を国是としてきた。戦争の放棄をうたった平和憲法の下で、集団的自衛権を行使しない、自衛隊の海外派兵はしないの2つを歯止めにしてきた。安倍首相は、岸路線で、憲法改正をして、この歯止めを外し、日本を普通の国にすることだと、私は考えている。にっぽんを普通の国にするか、それとも、これまでどおり、平和国家にするか、国民の判断が問われている。

岸井 安倍晋三の翼賛団体 来る者拒まずの姿勢か。日本会議(生長の家から出る、神社本庁も参加、秘密主義)、JC(日本青年会議所)、新宗連(立正佼成会)、統一教会、創価学会、反学会の集会「四月会」出席等

岸井 日本の右傾化 ①北朝鮮の核・ミサイル開発②竹島、尖閣の領有権問題③中国の軍事力強化が追い風になり、石原慎太郎(東京都)、橋下徹(大阪府、維新の会)、安倍晋三(自民党)などのタカ派が主流になった。吉田平和国家保守本流から、岸右翼的国家主義保守傍流に変わった。

岸井 次の選挙のポイント ①共産党がどれだけ無党派層を取り込めるか②創価学会がどれだけ自民党への投票をやめるか③小池百合子の動向など