悲しみ、苦しみは、人生の花だ。
人生を生き抜いたお年寄りの苦労話は、苦しみ、悲しみは消えて、充実感だけが、輝いている。
終戦後の「無頼派」の小説家・坂口安吾の言葉。
1946年(昭和21年)、雑誌が復刊され出し、4月に『新潮』に発表した評論「堕落論」は、終戦後の暗澹たる世相の中で戦時中の倫理や人間の実相を見つめ直し、〈堕ちきること〉を考察して、敗戦に打ちのめされていた日本人に大きな影響を与えた。時代の寵児。
『堕落論』(だらくろん)は坂口安吾の随筆・評論。坂口の代表的作品である。
戦争は終った。特攻隊の勇士はすでに闇屋となった。人間は変りはしない。ただ人間へ戻ってきたのだ。人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。終戦後、我々はあらゆる自由を許されたが、人間は永遠に自由では有り得ない。なぜなら人間は生きており、又死なねばならず、そして人間は考えるからだ。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。
「無頼派」これは、戦後の自由を確認した潮流だ。石原慎太郎の「太陽の季節」。石原裕次郎の「明日は明日の風が吹く」の歌。戦後の自由で、必死に生きた人間の本性・真実を衝いている。
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