江戸秘伝 職養道その2

江戸の医者(針灸漢方)の職養道(開院の心得)その2

その2 稼ぐ

職養道第8 値は自分でつけよ

客を惹きつける装置。今でも医者の待合室で診察室のやり取りが聞こえるところがあるが、他人はどんな患者かと興味があるが、本人は顔をみられたくないという思いがあります。帰りは待合室を通らずに帰れるようにした。相談事の一件ごとに新品の道具で対応した。自分流の個性を出すことが大事である。個性派が勝つ時代です。自分の売る商品に自身があれば、値段は自分でつけるということです。

職養道9 笑顔は売り物と心得よ

相手を安心させる顔を作れ。自分が明るく朗らかであれば、会う人の心を弾ませる。相手を信用させるには、仕事上からくる自信も顔ににじませなければいけません。吉川英治は講演会をする前、顔に疲れがでないように、いつも注意していました。

職養道10 恩は売り買いするものにあらず

義理や人情にしばられて仕事をしていたのでは、自由な発想や創造力というものは出てきません。商家の家訓には親戚縁者とのつきあいは制限してしていました。職養道は、客としての相手にはこととんつくし、とことん搾り取るということを心情としています。甘さが出る付き合いは、いましめていました。

職養道11 金は貸すな、与えろ

商家の家訓でも、「親類からの無心には応じるな」という教えがある。金の貸し借りは、相手にやってしまえがいい。与えるとなれば10分の1にすることもできる。返さなくて良いとなれば、相手は気分よく返る。手持ちの金を与えて追い返せばいいのです。人間の運勢は付き合う人間によって、大きく影響される。借金の申込みに来るような人間とは、縁を切ったほうが良いのです。大学時代の同級生の売り込みがあっても、自分はその商談にタッチしないほうがよい。

職養道12 小口の客こそ大切に

毎日の生活を支えてくれるものは、ひいきにしてくれるお得意さんです。このお得意さんを金額の多少で差別してはいけない。小口の客をあなどるようなそぶりが見えると客のほうは敏感です。本当の客まで離れていきます。末永い商売とはならないのです。

職養道13 妖気ある人物とつきあえ

井原西鶴「日本永代蔵」の長者になる妙薬では、美食、道楽などのぜいたくと宴会などの金のかかる交際を禁じています。職養道では、外とのつきあいは積極的にといっている。ただし、祭りの寄付は三番目(寄付金額)と決めている。一番ではまわりの反発があります。下位だと文字が小さくて目立ちません。外づきあいをやれとは、どういうことでしょうか?人脈を広げる事です。業界の先輩や地位・名誉のある人と付合うと引きもある。一角の人物には妖気がある。相性があえば、お互い成長できます。

職養道14 金は後からついてくる

サービスが先、利益は後。ヤマト運輸は全国をカバーする輸送ネットワークを先に作って、成功した。まず、お客や働く人の喜ぶサービスを実現させて、初めて利益が実現する。リスクというものは、コストや利益を考える前に、新しいことをやらないために生じるリスクもあります。易者の世界は鑑定料は自分で決める。しかし、値下げはしないという不文律はあった。能力が疑われます。