江戸秘伝 職養道その1

江戸の医者(針灸漢方)の職養道(開院の心得)その1

東洋五術(命、卜、相、医、山の中国運命学)運命学協会長の佐藤六龍が、江戸時代から伝わる職業上の秘伝を披露した。

その1 信用を得る

職養道第1 同業者の悪口は言うなかれ

悪口はすぐ本人に伝わり、今度は自分の悪口が町中に伝わる。もっと巧妙な手をつかう。ライバル業者の話題になったら、まずは相手をほめる。しかし、話の終わりに語勢を弱め、裏腹のことがあることを感じさせる。ねたみ心が渦巻く社会なので、同業者の悪口は言わないが原則。

職養道第2 クレームは、一切の弁解をするなかれ。まずは、素直に謝ることが第1

お客が文句をいうのは、まだ、’’縁’’があるからだと考えているのです。この’’縁’’をこれからも、大切にしていくために、弁解はしないことに意味がある。クレームは来た時から仕事が始まる。

職養道第3 思いやりは全身全霊でみせろ

じっくり人の話を聞いて、相手に同情や共感を示すときは、口先やおざなりの形でなく、全身全霊で思いやると、人間の閉ざされた心は開くのです。

職養道第4 芝居はするべし、するべからず

大衆は、所詮、獅子舞の金歯がすきなのです。派手なものに惹かれるのです。ブランド志向なのです。ときにはお芝居もやりなさい、しかし、やりすぎないように。商売をつづけてゆくためには、多少の見栄やハッタリはかまわないと容認しています。

職養道第5 嘘はついても、だますなかれ

易者は、亡者(鑑定客)に使う易経の文句がかいてある本、「テンタクリ(天沢履)の卦で虎の尾を踏む、危うきかな・・・」の文句のある易経本さえあれば十分なんだ。テンタクリ以外の卦なんか必要ないんだ。だれにもテンタクリをかませればいいんだ。相手を納得させるためには、嘘、ハッタリ、手練手管を使いますが、だましてはいけない。信頼を失ってはいけない。

職養道第6 仏壇を見よ  他人の家におじゃましたら、仏壇を確認する。経済状態、家の歴史など相手のことを知る手がかりになる。すると、相手にすすめる商品の等級や種類がわかる。相手の身に着けているものや家の中に飾ってあるものから、相手の人となりや経済状態を推測しろということです。敵を知るという意味で情報力を養えということです。昔も今も情報は命なのです。

職養道第7 後の心配りを忘れるなかれ   江戸時代の商売は、「信用第1」をモットーに「事後のフォロー」はごく普通のことでした。「心のフォロー」ということです。後々まで長い付き合いをする。人間関係まで使い捨てにしてはいけない。濡れている人に傘を差し出すということです。